週刊なるほど!消費税

対価の額(7)

第25号 2003/05/19

【先生】

 前回まで対価の額について一通り見てきました。今回はいくつか

具体例を見ていくことにしましょう。 

 まずは資産の下取りです。下取りといえば大抵の人は車を想像

すると思いますので、車の下取りを例にしてみましょう。

【生徒】

 業者によって下取金額って全然違うこともあるんですよね。最低

5社は見積もりを取れというのが父親の遺言です。

【先生】

 ・・・ずいぶんせこい遺言ですね・・・

【生徒】

 はい。・・実はまだ全然元気なんですけど。

【先生】

 とりあえず遺言に従って一番高いところを見つけたとしましょう。

 下取りの状況をイメージしてみて下さい。100万円の新車を買お

うとして、自分の車を下取りに出しました。下取価格は30万円です。

その30万円は新車代金の100万円から差引かれて、結局70万円

を払って新車を購入しました。

 100万円の新車を70万円で買ったのですから、30万円を値引き

してもらったように感じる人も多いでしょう。

 値引きのときの対価の額がどうなるか覚えていますか?

【生徒】

 確か値引き後の金額でOKなんですよね?

【先生】

 そうです。

 30万円を値引きとすると、業者は70万円で車を売ったことになり

対価の額は70万円になります。

 ですが、このような取扱は認められていません。

【生徒】

 どうしてですか?

【先生】

 これは本来「中古自動車の下取り」と「新車の販売」という2つの

取引だからです。

 通常の売上値引きは売上金額を減額してあげようというものです。

この場合は中古自動車を売った代金を新車購入代金の一部にあて

ようというものですので、値引きと同様と考えることはできません。

 ですので、新車販売の対価の額100万円、中古車下取りの対価

の額30万円と2つに分けて考えます。

【生徒】

 でも、どちらにしても動く金額は70万円で変わらないですよね。

何か問題が出るんですか?

【先生】

 はい。確かに動く金額は同じになりますが、売上に計上される総

合計の金額は変わります。

 これは後々お話しする「課税売上高による納税義務の判定」や、

「簡易課税制度」などに関係してきます。

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