【先生】
今回は対価の額の2回目です。
前回は通常の取引の場合でしたが、今回から特殊な場合の取引を見ていきましょう。
以前資産の譲渡等に含まれる取引について話しました。どのようなものがあったか覚えていますか?
【生徒】
確か現物出資とか代物弁済とか負担付贈与とか・・・
最後にみなし譲渡でした。
【先生】
そうですね。
それらは資産の譲渡等になる取引ですので、どの金額を対価の額とすればよいのか決めてあげる必要があります。
まずは現物出資から。
現物出資が資産の譲渡等に含まれる理由は何だったでしょうか?
【生徒】
車とかパソコンとかを提供する対価として株をもらうからですよね。
【先生】
そうです。
お金の代わりに株を渡すということですので、その時の株の価額が対価の額ということになります。
【生徒】
株の価額?
【先生】
例えば新しく設立する会社に1株5万円×10株を出資しようとすると、お金では50万円かかります。それをお金の代わりに車などを提供して、その10株を取得するということですので、車の対価の額は50万円ということになります。
【生徒】
なるほど。
【先生】
次に代物弁済です。
代物弁済の内容は覚えていますか?
【生徒】
自分の持っている資産を提供して借金をチャラにしてもらうことです。
【先生】
代物弁済は取引を分解してみると分かりやすいでしょう。
まず借金をしている相手に対して、自分の持っている資産を売ります。
代金を受け取ったら、今度はそのお金で借金を返します。この間のお金のやりとりを省略したものが代物弁済です。
基本的には売却代金=借金の金額ですので、代物弁済により消滅した債務の額が対価の額になります。
【生徒】
チャラになった金額が対価の額ということですね。
【先生】
そうです。
但し、売却代金=借金の金額にならない場合には注意が必要です。
ここでちょっと例を出してみましょう。
100万円の借金の弁済に、自家用車と20万円を支払いました。代物弁済による対価の額はいくらになりますか?
【生徒】
車だけだと足りないからお金も払ったってことですよね。
100万-20万で80万かな?
【先生】
そうですね。
車の売却代金は80万円で、残額を金銭で払ったということになります。
では100万円の借金の弁済に自家用車を提供したが、先方から20万円の金銭を受け取った、という場合にはどうなりますか?
【生徒】
借金より車のほうが高かったってことですね。
100万+20万で120万ですか?
【先生】
その通りです。
借金の返済を主眼に考えるとお金をもらうというのはちょっと奇異な感じですが、例えばもともと車を120万円で売る予定であったのを、相手に借入をしてたので、その分棒引きして差額だけ払ってもらった、ということですとよくあることではないでしょうか。
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