【先生】
今回からいよいよ具体的な内容に入ることになります。
まずその前に先週の復習から。この文章を覚えていますか?
『国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供には消費税を課する』
【生徒】
それに当てはまる取引をすれば消費税がかかる、ということでしたよね?
【先生】
そうです。そして次の段階で考えなければいけないのが、
「国内ってなんだろう?」「事業者って誰だろう?」「事業としてってどういうものだろう?」
といったように、文言一つ一つの意味をはっきりさせることです。
例えば国際電話を考えてみて下さい。自分は日本にいて電話をかけていますが、相手は外国で電話をかけています。これは果たして国内でしょうか、それとも海外でしょうか?
【生徒】
・・・なんかいきなり難しいですね・・・
【先生】
一口に取引といっても様々な形態がありますので、この取引はいったい何にあてはまるのか、明確にしないと混乱してしまうんですね。
今回見ていくのは『事業者』です。事業者って、一体誰のことでしょう?
【生徒】
・・・会社かな?
【先生】
会社もそうですが、事業者には大きく分けて2種類あります。
まずは個人事業者。文字通り個人で事業をしている人ですね。
例えば個人で飲食店を経営していたり、カメラマンをしている人などです。
駐車場を貸していたり、家賃収入がある人もそうです。
給与所得者、つまりサラリーマンは個人事業者ではありません。
【生徒】
姉が今年からフリーのデザイナーとして働き始めたのですが、これは個人事業者になるわけですね。
【先生】
原則はそうですが、ちょっと注意が必要な場合があります。
ある会社の専属になっているような時には、もらう報酬が給与となる場合があるのです。
【生徒】
個人で働いていても、報酬が給与ということになれば消費税はかからないんですね?
【先生】
はい。そういうことになります。
ただ、給与になるかどうかは明確な規定があるわけではありませんので、個別の事例ごとに見ていく必要があります。
【生徒】
どういう場合に給与となるのですか?
【先生】
一応の指標としては、次のような項目を勘案します。
1 契約内容が他人の代替を許容しているか
→請負った業務を自分以外の他人に任せることができるかどうか
つまり下請けに出せるかどうか、と考えるとわかりやすいでしょう。
出せない契約内容になっていれば、給与となる可能性があります。
2 業務遂行上、指揮監督を契約先から受けるかどうか
→仕事をする際、契約先からの指示に従わなければならないこと
になっていれば、給与となる可能性ありです。
3 業務が未完成でも報酬が支払われるかどうか
→給与と同じように仕事の正否に関係なく毎月一定額が支払わ
れるような場合には、給与となる可能性があります。
4 原材料、作業用具などが供与されているかどうか
5 交通費等の諸経費は誰が負担しているか
→材料・経費全て契約先もち、ということであれば、その契約先の
内部で働いていることと同様とみなされ、給与となる可能性があ
ります。
【生徒】
結局、従業員と同じような立場で働いていれば、給与になるということですね。
【先生】
そう考えるとわかりやすいと思います。ただ上記の5つはあくまで指標ですので、具体的には契約先や所轄税務署と相談して、給与にあたるかどうかを判断したほうがいいでしょうね。
次回はもう1種類の事業者についてです。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。