週刊税務調査日記

6月の攻防 ■

第312号 2008/7/23

6月は例年、税務調査の決着をめぐって会計事務所と税務署との間でかなりの攻防があります。

なぜ6月かというと、税務職員の異動が年1回7月10日に行われるためです。

異動月の前月で仕掛った調査を終了させるのが通常ですので、6月は税務職員にとっては締めの月になります。

税務署は締めの月でも、会計事務所と納税者はそんなことは何も関係ないわけですし、もともとお互いの利害が相反するものですから、すんなりと調査が終結するはずもありません。

今年も、かなりの数の調査が6月まで続き、中には7月10日の異動後も後任者に引き継がれた案件もあります。

納税者も調査というあり難くないイベントは1日も早く終わらせたいに違いありませんが、税務署が無理やり税金を取るような指摘事項に関して、そうは言っていられません。

我々も、そのような指摘に対しては全面的に納税者をバックアップします。

したがって、早く6月中に調査を終了させたいという考えと、納得できない税金は支払えないという考えがぶつかり合って、いつも以上の税務署と会計事務所の攻防劇となるわけです。

調査官も、今年の異動で他の税務署に動くことが確実な場合は、もう今の税務署とはおさらばですから、我々に対してもかなり強気で挑んで来ます。

相当血圧が上がるケースが今年も多かったですが、税務署も我々もビジネスでやっているわけですから、仕方のないことです。

7月10日の異動があり、翌週の7月14日から税務調査の連絡が税務署から早々とかなりありました。

昨年から調査対象先数を増加させたことの影響です。

2年前までは、こんなに早い調査の着手はなかったのですが、調査官も大変ですね。

今日の新聞に、旧厚生省の内部文書で、「年金資産は何十兆円もあるのだからどんどん使え、将来のことなんてこれだけあるのだから考える必要がない。これだけあれば退職後もOB企業で悠々自適だ」とお偉いさんが明言していたと書いてありました。

その具体例がグリーンピアの箱物でしょう。

同じ公務員でも大違いですね。

厚労省の職員を税務署に出向させて意識改革でもした方がよいかも・・・

おわり

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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