まず前号において、外注費ではなくて給与とみなされると消費税の納税額が増えることについて、説明不足でしたので補足します。
消費税は、預った消費税と支払った消費税の差額を納税します。
同じ支払いでも、外注費だと消費税がかかるために支払った消費税が計上されます。
一方、給与ですと消費税がかからないため支払った消費税が計上されません。
ですから外注費で計上してあるものを給与と税務署が認定すると、支払った消費税が少なくなるために、消費税の納税額が多く計上されるのです。
消費税が多くなると聞いて納税者は必死の抵抗をしています。
▲納税者
「職人は絶対に外注費ですよ、給与なんかではありません!」
●税務署
「そうは言っても請負契約というよりは雇用契約という感じですね」
「まあ、ここで押し問答をしても仕方ありませんので、税務署で明らかにしている判定基準を説明します」
▲納税者
「へ~ そういう判定基準があるのですか・・・」
●税務署
「次の4つの判定基準です」
(1)契約内容が契約者だけでなく他の人がやってもよいことになって
いれば請負契約で、そうでなければ雇用契約
(2)仕事をするにあたって事業者から個々の指揮監督を受けないの
であれば請負契約で、そうでなければ雇用契約
(3)仕事の目的物が不可抗力で滅失した場合に、それまでの分の報
酬を請求できないのであれば請負契約で、そうでなければ雇用契
約
(4)仕事にかかる材料や道具を事業者から提供されていないのであれ
ば請負契約で、そうでなければ雇用契約
▲納税者
「うちはこの判定基準に当てはめても、全部請負契約です!」
●税務署
「職人さんは会社の車を使っているって言ってましたよね?」
「そうすると判定基準の(4)では雇用契約に該当しますよ」
▲納税者
「・・・」
●税務署
「職人は会社の指揮監督のもとに働いているのではないですか?」
▲納税者
「そんなことはないですよ」
「皆、勝手に働いています・・・」
まあ、こんな調子で調査官は質問してきます。
事実認定の問題ですので、根気よく調査官に説明することが必要です。
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