■会計事務所
「資金の流れを知りたいということですか?」
●税務署
「ええ、お父様が物件Aを買ったときの借入金が今現在も相続されて残っていますよね?」
▲納税者
「ええ そのとおりです」
●税務署
「物件Aは既に売却され、そして別の物件Bを買われているのですが、お父様が借りた借入金はまだ残っています」
▲納税者
「それがいけないのですか?」
●税務署
「いや、そうではないのです」
「物件の売却と買い替えをしていますが、その間の資金の流れをまず把握して、その上でお父様から引き継いだ借入金がすべて不動産事業に充てられたものであるかどうかを確認したいのです」
■会計事務所
「現在ある借入金によって調達した資金が、本当にすべて不動産事業に使われているのかということを確認するのですね?」
5億円をお父さんが銀行から借りて同額の物件Aを購入したわけですが、その後相続により納税者が物件Aと借入金を相続しました。
その後納税者は、物件Aを売却して新たに物件Bを買いました。
当初5億の借入金は今現在3億円残っています。
物件Aを2億で売って、2億で物件Bを買ったということなら問題はないのですが、物件Aを2億で売って、物件Bを1億で買い、残りの1億は株式投資に充てたという場合は問題です。
何が問題かというと、物件Bの不動産所得の申告で、現在の借入金3億にかかる支払利息の一部を必要経費として算入できないからです。
つまり、3億の借入金の内、株式投資に回した1億円分にかかる借入金の利息は、物件Bの不動産所得に算入することができないのです。
税務署は、このことを確認しに来たのです。
●税務署
「まぁ そういうことです・・・」
■会計事務所
「過去において買い替えをしていますが、資金的な流れは問題ないと思いますよ」
「過去に売却した物件の資金を生計のための資金に流用したりすることはなかったはずですから」
「すべて不動産事業に再投資していますので、問題ないと思いますよ」
●税務署
「ま その辺の確認をさせていただければと思います」
「では、物件を売却して新たに購入した物件の売買契約書はありますか」
▲納税者
「ええ あると思いますよ」
●税務署
「それと、その当時の売却代金が振り込まれた預金通帳も見せていただけますか?」
▲納税者
「え~そんな昔の通帳なんてないですよ」
●税務署
「ちょっと探していただけますか?」
▲納税者
「いや、本当にもう捨てるとかして、ないと思いますよ」
●税務署
「お願いします」
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