週刊税務調査日記

年を越した税務調査 (2)

第245号 2007/2/12

個人の不動産所得者の税務調査です。

●税務署

「今回お伺いしたのは、納税者の方に過去の不動産の取得や売却に関してご説明をいただきたいというのが一番の目的です」

■会計事務所

「過去の取得といっても、ほとんどが納税者の亡くなられたお父さんが取得したものですよ?」

●税務署

「ええ、承知しています」

■会計事務所

「それに、ほとんど売却してますから、その都度税務署には申告してます」

「過去の申告状況を税務署内でご覧になればよろしいのではないでしょうか?」

●税務署

「ええ、確かにそうなのですが、もう書類がないものもありまして・・・」

▲納税者

「私も父親の代のときは分かりませんよ」

●税務署

「は~ でもお願いします」

「さっそくですが、売却された物件Aを取得したときの書類はございますでしょうか?」

▲納税者

「昭和60年くらいの話ですよ?」

「そんなのもうないですよ!」

●税務署

「は~ おおよそいくらくらいで購入されましたか?」

▲納税者

「ん~ 5億くらいかな・・・」

●税務署

「その購入資金は?」

▲納税者

「銀行から借り入れたものです」

「今も返済していますから」

●税務署

「平成8年に売却されていますが、そのときの書類はありますか?」

▲納税者

「もう10年前のことですよ?」

「何でそんな前のことを今頃ほじくり返してるのですか?」

●税務署

「ええ すみません 資金の流れを知りたいものですから・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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