個人の所得税の確定申告期間中に税務調査を入れられてしまいました。
調査対象会社は、製造卸売業です。
企画とデザインを自社でやり、それを外注先の工場で作らせて、小売店に卸すといった商売です。
数年間赤字決算でしたが、中国の工場を外注先として活用してから売上も利益も増えました。
社長は、この道20年のワンマン社長です。
かなり個性のキツイ社長です。
経理は、社長の妹さんがやっています。
調査当日です。
●税務署
「○○税務署の税野です」
「宜しくお願いいたします」
▲納税者(社長)
「ん 宜しくね」
「うちに調査入っても何もないよ」
「経理はもう完璧にやっているからね」
「やるだけ無駄だから、もう帰ったら?」
「ハッ ハッ ハッ」 といつもの調子で初対面の挨拶です。
●税務署
「まず、御社の事業概況をうかがいたいのですが?」
▲納税者(社長)
「いいよ。何でも聞きな。」
●税務署
「まず、会社案内みたいなものはありますか?」
▲納税者(社長)
「会社案内?・・・ そんなもんね~よ」
「じゃ 俺が会社案内してやるから ついて来なよ!」
●税務署
「いや そういう意味でなくて・・・」
▲納税者(社長)
「いいよ 遠慮すんなよ はい!」
「ここが企画の部屋だろ、ここが生産管理、ここがトイレ・・・・」
「はじまっちゃった」という感じです。
社長のいつものペースです。
「これがうちの製品だよ」
「ベビー服 かわいいだろ」
「ところであんたは、所帯を持っているのかい?」
●税務署
「ええ 結婚はしています」
▲納税者(社長)
「子供は?」
●税務署
「はい ひとり・・・2歳の娘が・・・」
▲納税者(社長)
「あ~それならこれ持っていきなよ」
「2歳の女の子ならこれがピッタリだよ」
●税務署
「いや もらうわけには・・・」
●税務署
「何だ、俺があげるってのに、もらえないのか?」
「何か 俺のこと気に食わないのか? エエ?」
●税務署
「そ そ そんな意味ではないのですが・・・」
▲納税者(社長)
「じゃ、どんな意味なんだよ?」
調査官は、困った顔をしてこちらを見ています。
ここで助け舟を出します。
■会計事務所
「社長 調査官はもらいたくても、もらえないんですよ」
▲納税者(社長)
「何で?」
■会計事務所
「国家公務員倫理法というものがあって、利害関係者から物品などをもらうことができないようになっているのです」
「社長のせっかくの厚意なのですが、仕方ありません」
▲納税者(社長)
「そうなんだ。じゃ仕方ねぇ」
こんなことで、もうお昼になってしまいました。
社長のワンマンショーで午前中は終わりです。
To be continued
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