週刊税務調査日記

担当者が怒った調査(6)

第150号 2005/3/7

三原と調査官との攻防は続きます。

●税務署

「社長さぁ、チョッといい?」

▲納税者

「はい」

■会計事務所(三原)

「チョッと待ってください」

「昨日から、社長のことを さぁ をつけて呼んでいますが、それっておかしくないですか?」

「友達同士ならともかく、会社の代表者に対して、普通はそのような呼び方をしませんよね」

「会計事務所にとって納税者の方は大切なお客様です」

「そのお客様に対して、そのような言葉遣いはしないでください!」

「税務署だって同じではないのですか?」

「納税者は、税金を払ってくれる大切なお客様ではないのですか?」

「それも会ってすぐに、社長さぁ なんて言うのはおかしいです」

「社長さぁ ちょっといい」ではなくて、「社長、チョッとよろしいでしょうか」

ではないですか?

●税務署

調査官は、三原の言葉を聞いて ポカ~ン とした顔をしていましたが、自分の娘くらいの会計事務所員にお説教を受けた格好となり、気まずそうな顔つきになってきました。

「はぁ すみませんでした・・・」

■会計事務所(三原)

「それで社長に何を聞きたいんですか?」 と三原は畳み掛けます。

●税務署

「はい。あの~ この請求書の内容についてお聞きしたいのですが?」

だいぶ言葉遣いが改まってきました。

また、調査官の椅子の座り方も礼儀正しくなりました。

税務調査は、数年に1回です。

調査を受ける納税者は当然調査慣れなどしておらず、緊張して調査を受けています。

ましてや初めての税務調査となると映画の「マルサ」と同じイメージで調査に挑む納税者の方が結構いらっしゃるものです。

この不安でいっぱいの納税者を前にして、それを良いことに、納税者を威圧したり、横柄な態度や言動をしたりすることは良くありません。

この調査官は反省する必要があると思います。

そして、調査は無事終了しました。

納税者の税務処理は何も問題なく、修正事項はありませんでした。

三原が午後6時頃に事務所に帰ってきました。

■会計事務所(所長)

「お疲れ様!どうだった」

■会計事務所(三原)

「所長、すっきりしました」

「あまりにも威圧的な態度でしたから、チョッと説教をたれてきました」

■会計事務所(所長)

「調査官に?」

■会計事務所(三原)

「ええ、そうです」

■会計事務所(所長)

「あの調査官は、あなたのお父さんくらいだろう?」

■会計事務所(三原)

「はい、父と同い年でした」

今頃調査官は自棄酒でも飲んでるんだろうな・・・・

 「あの生意気な小娘のやろう・・」と言いながら・・・

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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