納税者が銀行から借りている借入金の返済が滞っているのを見つけた調査官は、納税者に対して説教を始めました。
●税務署
「そもそもあんな異常な景気が長続きするはずないじゃないですか」
▲納税者
「はぁ・・・」
●税務署
「右肩上がりが続くと思って賃貸物件を買い続けたんでしょ?」
▲納税者
「えぇ・・・」
●税務署
「そんなことあるはずないですよね、先生?」
■会計事務所
「まぁ、結果を見ればそのとおりだけれども、バブルの最中では皆そのことに気づかないですよね」と納税者の肩を持ちます。
●税務署
「それだからダメなんだよね」
「バブルの最中でも浮かれることなく地道にやってきた方を私はたくさん知っていますよ」
「経営は常に先を見て舵取りしないとだめですよね」
「まぁ、こんなことばかり言っていても仕方ないですから、仕事に戻りましょう」
「では、総勘定元帳を見せてもらえますか?」
▲納税者
「総勘定元帳ですね」と言って、納税者は部屋を出て行きました。
■会計事務所
私も席を立って納税者の所へ行きます。
「本当にチョッと変な調査官ですね」
▲納税者
「相当変ですよ」
■会計事務所
「一発、私の方から言いましょうか?」
「経営に関することは口出しするなと・・・」
▲納税者
「いや、いいですよ」
「右から左に聞き流していればいいんですから」
「それで調査が終われば、何てことないですよ」
「平気です」
■会計事務所
「そうですか」
席に戻り、税務調査の立会い再開です。
●税務署
「では、次に源泉徴収簿を見せてください」
▲納税者
「はい、分かりました」と言って、源泉徴収簿を持って来ました。
個人事業は大赤字で、いくら売上計上漏れを見つけても追加で税金を取れません。
事業が赤字でも税金を追加で取れるのが、消費税と印紙税と源泉所得税です。
矛先を源泉所得税に向けてきたわけです。
源泉徴収簿とは、役員や従業員の月ごとの給与と給与から天引きする源泉所得税を記入した帳面です。
調査官は、この源泉徴収簿と総勘定元帳をチェックしています。
すべての給与等の支払に対して、源泉徴収をしているかどうか確かめているのでしょう。
To be continued.
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