週刊税務調査日記

思いも寄らない調査(6)

第73号 2003/8/11

社長がとうとう仮名口座のお金は会社で作ったものであることを認めました。

「お金を会社で作る」とはどのようなことでしょうか。

これは、いわゆる「裏金」のことです。

裏金とは、会社の取引を操作して帳簿に計上されていないお金のことです。

どのように作るかというと、主に架空の経費を計上してお金をプールします。

例えば、架空人件費の計上です。架空のAさんという人に給料を払ったことにして、その金額を仮名の口座にプールするのです。

また、大量の切手やイオカードなどを購入して会社の帳簿で経費で計上し、その切手やイオカードなどをチケットショップで買い取ってもらうのです。

その買取代金を仮名口座に入金して裏金を作ったりします。

政治家に陰でお金を渡す場合などは、このような裏金が使われているのではないでしょうか。

さて、話を戻して調査官とのやり取りです。

●税務署

「社長、この仮名口座のお金はどうやって作ったのですか?」

▲納税者

「・・・・」

●税務署

「もう、ここまで話したんだから、観念しなさいよ」

▲納税者

「・・・・・・・」

●税務署

「社長、どうやってこのお金を作ったのですか?」

▲納税者

「材料の仕入・・・」と蚊の鳴くような声で言いました。

●税務署

「材料の仕入?」

「材料の仕入をどうしたのですか?」

▲納税者

「ここまで言えば、分かるだろ!」

●税務署

「材料の架空仕入をしていたということですか?」

▲納税者

「まあ・・そのようなことだね」

●税務署

「社長、具体的に話してもらわなければ困るよ」

▲納税者

「わかったよ」

              To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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