週刊税務調査日記

調査の立会いを依頼された調査(7)

第59号 2003/5/5

職人が雇用契約であるか請負契約であるかで、調査官とやりあっています。

そもそも明確な規定がないのに「納税者が請負契約であると認めたら、税金が取れる」といったような感じがします。

納税者は税金や法律の知識がなくて当たり前です。

その丸腰の納税者に対して難しいことを言ったり、「税法ではこう決まっているから」

と言って、納税者から税金を取るのはいかがなものかと思います。

この納税者も私が立ち会う前は、調査官から「職人は雇用契約であるから、消費税を追加で納税しなくてはならない」と言われ、眠れない日々を送っていたようです。

ここは譲れないところです。

■会計事務所

「調査官がお持ちいただいた、コピーの5項目に照らし合わせても私は請負契約であると思いますよ」

「職人も確定申告で、事業所得の申告をしているのですから」

「この件に関してはこちらは一歩も譲りませんよ」

●税務署

「・・・」

■会計事務所

さらに畳み掛けます。

「今日で会社に来たのが4日目だというではないですか?」

「通常この規模の会社では2日で十分ではないのですか?」

「納税者は仕事にも支障が出ていると言っています」

「他になんか問題があるのであれば、早いところ調査してください」

●税務署

「・・・分かりました」

「今までの問題点については後日会計事務所の方に連絡します」

「今日のところはこれで失礼します」

■会計事務所

「今後の連絡は全て事務所にお願いいたします」

「納税者に直接連絡しないでください」

ということで、本日の調査は終わりました。

▲納税者

「先生ありがとうございました」

「前回までとは調査官の態度がまったく違いました」

「先生の立会いがなかった時は、調査官はもう国家権力丸出しで、非常に威圧的でしたね」

■会計事務所

「そうでしたか」

「人によって態度を変える人間はダメな人ですよね」

「後は、私と調査官との駆け引きになると思います」

「任せてください」

これで会社での調査は終わりです。

あとは、調査官の連絡を事務所で待つだけです。

To be continued

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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