週刊節税教室

小規模企業共済の解約

所得税
第393号 2010/10/26

☆質問

「小規模企業共済って知っていますよね」

★回答

「もちろん知っています」

「個人事業者や中小企業役員の退職金制度です」

「個人が掛け金を負担するのですが、その掛け金が社会保険料控除などと同様に個人の税金計算上において所得控除になるので、かなり税金が有利になる制度です」

☆質問

「そうですよね」

★回答

「そして共済金を個人事業廃止などの理由で受け取った場合には、その受取金は退職所得になりますので、受け取った時も税金が有利になります」

☆質問

「そうですよね」

「そのために毎月掛け金を支払って積み立てていたのですが、この景気で事業が振るわず、資金繰りがかなり苦しくなってきました」

★回答

「もしかして解約を考えているのですか?」

☆質問

「そうです」

「小規模企業共済を解約して事業資金に充てる予定です」

★回答

「今解約すると解約金額はいくらになるのですか?」

☆質問

「約1,500万円です」

★回答

「ところで今おいくつですか?」

☆質問

「63歳です」

★回答

「65歳で解約するのと、65歳未満で解約するのとでは、解約金に対する税金の扱いが異なるのをご存知ですか?」

☆質問

「え~知りません」

★回答

「65歳以上で解約すると退職所得扱いとなるのですが、65歳未満で解約すると一時所得扱いとなります」

☆質問

「では、今解約すると税金はどうなりますか?」

★回答

「一時所得だと、解約金の1,500万円から50万円を控除した額の2分の1の金額、つまり725万円が他の所得と合算されて所得税と住民税が課税されます」

☆質問

「65歳になるまで待つと?」

★回答

「勤続年数が20年とすると、1,500万円から800万円の退職所得控除を引いた700万円の2分の1の額、つまり350万円に対して、他の所得とは分離されて所得税と住民税が課税されます」

☆質問

「65歳になって解約した方がかなり有利ですね?」

★回答

「そうですね」

「小規模企業共済には、掛け金の範囲内で事業資金を貸し付けてくれる制度がありますので、当面の資金繰りはそれで手当てして、解約は65歳まで待った方が得策です」

☆質問

「よく分かりました」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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