週刊節税教室

損益通算で節税

所得税
第392号 2010/10/21

☆質問

「今年もあと2ヶ月ちょっとで終わりです」

「年内に含み損のある資産を処分して節税を考えています」

★回答

「個人の所得計算は暦年ですので、年内に資産を売却して含み損を実現させれば、他の所得と損益通算をして節税することが可能です」

「含み損のあるどのような資産を持っているのですか?」

☆質問

「まず、ゴルフ会員権です」

★回答

「売却損が出れば給与所得などと損益通算ができます」

「会員権業者に売って、業者発行の領収書や計算書をもらって確定申告書に添付するとよいでしょう」

☆質問

「投資用のワンルームマンションはどうですか?」

★回答

「投資用のワンルームマンションを売却して損失が出ても給与所得などと損益通算はできません」

「他の不動産の売却益と相殺するだけになります」

☆質問

「上場株式はどうですか?」

★回答

「上場株式の売却損も給与所得などと損益通算はできません」

「しかし、上場株式の配当金を申告分離課税を選択して確定申告をすると、上場株式の売却損と損益通算できます」

☆質問

「なるほど」

「FXの損失はどうですか?」

★回答

「店頭取引ですか? 取引所取引ですか?」

☆質問

「FXの取引は両方やっています」

★回答

「店頭取引のFXは総合課税の雑所得になりますので、公的年金など他の雑所得とFXの損失とを損益通算できます」

☆質問

「取引所取引でのFXの損失はどうですか?」

★回答

「申告分離課税の雑所得になりますので、日経225先物の利益と損益通算できます」

「また、損失は翌年から3年間繰越して、その間の利益と相殺できます」

☆質問

「店頭取引のFXで利益が出ていて、取引所取引のFXで損失が出ている場合、両者は損益通算できますよね?」

★回答

「できません」

「同じFXの取引でも、申告方式が異なるため両者を損益通算することはできないのです」

☆質問

「は~税金の仕組みは複雑ですね・・・」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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