週刊節税教室

法人成りのタイミング

法人税・所得税・消費税
第376号 2009/11/20

☆質問

「個人事業をやっていますが、節税になると聞いて会社を設立しようかと考えています」

★回答

「中小企業の800万円以下の法人税率は今年の4月から18%に下がり、民主党は更に11%にしようとしていますから、税率だけを考えても個人事業より法人の方が税金が有利と言えます」

☆質問

「もう年末近くなりましたが、法人を設立して個人事業を法人に移行するタイミングは年内か、翌年か、いずれが良いのですか?」

★回答

「まず、個人事業者が法人を設立した場合、いつまでが個人事業で、いつからが法人事業なのかを理解する必要があります」

☆質問

「確かに、そうですね」

「で、個人事業はいつまでなのですか?」

★回答

「法人設立日の前日までが個人事業になります」

☆質問

「すると、法人事業は法人設立日から開始ということですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「年内に法人を設立すると最終の設立日はいつになりますか?」

★回答

「法人の設立日は、登記所に登記申請書を届け出た日となります」

☆質問

「ということは、官庁の御用納めは12月28日で登記所もこの日が最終日になるから、年内の法人設立だと12月28日が最終日になりますね?」

★回答

「そうです」

「年明けの一番早い設立日は、御用始めの1月4日となります」

☆質問

「なるほど」

「12月28日に法人を設立するのと、翌年の1月4日に設立するのでは、税金にどのように影響しますか?」

★回答

「消費税に注意する必要があります」

「特に個人事業で多額の在庫や設備を抱えている場合、法人成りとともに在庫や設備を法人に譲渡すると、個人の譲渡所得になるとともに、消費税の課税対象になります」

☆質問

「私の個人事業は今年まで消費税は免税事業者で、来年は課税事業者になります」

★回答

「そうすると、あなたの場合は12月28日に法人設立をして在庫や設備を法人に譲渡すれば、消費税はかかりませんが、翌年の1月4日に法人を設立して在庫や設備を法人に譲渡すると、翌年は消費税の課税事業者ですから、消費税がかかってきてしまうのです」

☆質問

「なるほど、よく分かりました」

「私の場合は、年内に法人を設立します!」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

無断転用・転載を禁止します。

本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。

  • ○著作物を、私的利用の範囲を超えて権利者の許可なく複製する行為
  • ○著作物を、インターネット上で公衆が取得可能な状態にする行為
  • ○著作物の全部もしくは一部を権利者の許可なく改変する行為