週刊節税教室

中小企業の株式を売買をする(1)

所得税・相続税・贈与税
第255号 2006/11/13

☆質問

「業務主宰役員の役員報酬にかかる給与所得控除額を会社の所得に加算

するという特殊支配同族会社の適用を回避するには、株式を他人に持って

もらうことが効果的と聞きましたが、いかがですか?」

★回答

「特殊支配同族会社の適用要件として、業務主宰役員とその特殊関係者が

株式(出資)の90%以上を所有していることがあります」

「この要件を満たさない会社は適用除外となります」

☆質問

「そうすると、第3者に発行済み株式(出資)数の10%超を持ってもらえば適

用除外になるわけですね?」

★回答

「形式的にはそのとおりですが、税務の専門誌では、意図的な適用逃れと

して見られるのでは?、との指摘もあります」

「また、業務主宰役員とその特殊関係者の意のままに株主総会で1票を投

じるような株主は、実質的に業務主宰役員グループに含めて持株比率を判

断すると規定してあります」

☆質問

「10%超の株式を他人に持ってもらっても、すんなりと適用除外にならない

こともあるということですね?」

★回答

「そのようです」

☆質問

「そういうリスクを理解した上でも株式を第3者に持ってもらう場合の税金上

の扱いについて教えてください?」

★回答

「自分の株式を第3者に持ってもらう場合の一番手っ取り早い方法は、株式

を売買する方法です」

☆質問

「株式を売買すれば税金がかかりますよね?」

★回答

「そのとおりです」

「中小企業株式のような非上場株式を売却して利益が出ると、利益に対し

て20%の税金がかかります」

☆質問

「利益が出るということは、自分がもともと50,000円で出資した株式を

70,000円で売った場合には、差額の20,000円が利益で、税金が20,000円

×20%=4,000円かかるということですね?」

★回答

「そのとおりです」

☆質問

「逆に40,000円で売った場合には、10,000円の損失が出るということですね

?」

★回答

「そうです」

☆質問

「損失には税金がかかりませんよね?」

★回答

「かかりません」

☆質問

「その損失と、給与所得とは相殺されて税金が安くなることはないのですか

?」

★回答

「残念ながらありません」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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