☆質問
「前回は、大赤字で繰越欠損金が多額にある子供の会社が、父親
の土地の上にアパートを建てることにより、会社に借地権が帰属す
ると、良いことばかりという話でした」
★回答
「そうでしたね」
「父親の土地の評価額は減って相続税対策になり、借地権が帰属
して受贈益が計上される法人も、繰越欠損金があるので税金が発
生しないということでした」
☆質問
「しかし、こんな良いことばかりで、落とし穴はないのですか?」
★回答
「ん~ 確かに繰越欠損金が多額にあっても、税金の問題が発生
する場合があります」
☆質問
「それはどのような場合ですか?」
★回答
「お父さんからの借地権の贈与で、子供が株主である会社の株式
の価値が上昇した場合です」
☆質問
「子供が持っている会社の価値が上がると、税務上はどうなるので
すか?」
★回答
「お父さんから借地権を贈与されたことにより、子供が持っている会
社の株式の価値が上昇したことから、その価値の上昇分だけ、父
から子に贈与があったとされるのです」
☆質問
「なるほど、そんな考え方で贈与税が課税されることがあるのですか
・・・驚きです」
「どのような場合に、課税されるのですか?」
★回答
「会社の資産(現金などのプラスの財産)より負債(借入金などのマ
イナスの財産)が多い状態を債務超過と言います」
「繰越欠損金が多額にある会社は、この債務超過の状態が多いの
ですが、借地権の受贈後においても会社が債務超過の状態であれ
ば、会社の株式の価値の上昇はなく、贈与税の問題も起きません」
「しかし、借地権受贈前で債務超過の状態でない会社、または、借
地権の受贈前は債務超過の状態であるけれども、受贈後は債務超
過を解消した場合には、父から子への贈与税の問題が出てくるので
す」
つづく
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