週刊節税教室

親の土地に法人が建物を建てる (4)

法人税・相続税
第210号 2005/12/12

☆質問

「子供の会社が、父親の土地の上にアパートを建てると、会社に借地権

が帰属して、何もしないと会社に借地権の受贈益が計上されるということ

でした」

「会社に繰越欠損金が多額にあって債務超過であれば、受贈益が計上

されても問題はありませんが、会社が黒字であると会社で多額の税金を

支払わなければなりません」

「会社が黒字の場合に、多額の税金を支払わないようにする方法はあり

ますか?」

★回答

「あります」

「土地の相続税評価額の6%の地代を支払う相当の地代方式というもの

がまずあります」

☆質問

「相当の地代方式ですか?」

★回答

「そうです」

「土地の相続税評価額の6%という高い地代を地主に支払えば、借地権

の受贈益を計上しなくてよいのです」

「相当の地代方式によると、お父さんの土地の相続税評価額は、更地評

価(減額のない100%評価のこと)から20%減額されます」

☆質問

「高い地代を父に支払うのも得策ではないですね?」

★回答

「確かにそうですね」

「そこで、もうひとつの方法があります」

「無償返還方式と言われるものです」

☆質問

「無償返還方式ですか?」

★回答

「そうです」

「会社が借りた土地は、将来無償でお父さんに返すという届出書を税務

署に提出する方式です」

「この届出を出せば、借地権の受贈益を会社で計上する必要はありませ

ん」

☆質問

「へ~ そうなんですか?」

「相当の地代方式みたいに、高い地代を支払う必要もないのですか?」

★回答

「そうです」

「会社がお父さんに支払う地代はいくらでも良いのです」

☆質問

「地代を支払わなくても良いのですか?」

★回答

「地代を支払わなくても良いのですが、それでは使用貸借になり、お父さ

んの土地の評価が更地評価になり、お父さんの相続の時に相続税が多

くかかってしまいます」

☆質問

「ということは、どのくらい地代を払えばよいのですか?」

★回答

「土地の固定資産税の2~3倍以上の地代は年額で支払う必要があると

言われています」

「そうすると、使用貸借ではなく賃貸借になるからです」

「賃貸借であれば、お父さんの土地の評価も更地評価から20%引きとな

ります」

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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