週刊節税教室

親の土地に法人が建物を建てる (2)

法人税・相続税
第208号 2005/11/28

☆質問

「父親が所有している土地の上に、子供の会社がアパートを建てて、

そのまま何もしないと、父親から子供の会社に借地権が贈与された

ものとして、会社に借地権の受贈益が計上されるということを、前回

は教えてもらいました」

「会社に借地権が発生するということは、父が所有する土地の価値

は、借地権の分だけ減少したということになるのですか?」

★回答

「そのとおりです」

「土地の時価が1億円で、その地域の借地権割合が70%とすると、

アパートを建てる前の土地の評価は1億円でしたが、会社がアパー

トを建てた後の土地の評価は、借地権の評価額7千万円を減額した

3千万円の評価になります」

☆質問

「ということは、父の相続税対策になるということですね?」

★回答

「そのとおりです」

「あなたの会社は黒字経営ですから、会社に借地権が帰属して多

額の受贈益が計上されると、会社で多額の税金を払うことになり、

相続税対策とは言え、あまり現実的な方法ではありません」

「しかし、会社経営が大赤字で、繰越欠損金が多額にあるような場

合はどうでしょうか?」

☆質問

「会社に繰越欠損金が多額にある場合ですか?」

「繰越欠損金があるということは、欠損金の額まで利益が出ても税

金がかからないということだから・・・借地権が会社に帰属して多額

の受贈益が計上されても、欠損金の範囲内であれば、税金は発生

しないということか・・・」

★回答

「そうです。そのとおりです。」

「お父さんの土地の評価は7割下がり、借地権が帰属したあなたの

会社には税金もかからないということです」

☆質問

「かなりの相続税対策になりますね?」

★回答

「そうですね」

「借地権が帰属した会社は、あなたが全株式を所有していますから、

実質的にお父さんからあなたに土地の70%が贈与されたのと同じ

効果があることになります」

☆質問

「それで、税金がかからないのですからかなりの節税ができるわけ

ですね」

★回答

「お父さんにも、会社にも税金がかからないで、土地の70%を子供

に移転できるのですから効果はありますよね」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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