相続で取得した自社の株式を、自分の会社に売却した場合の税金の扱い
について前回説明しました。
☆質問
「特別扱いで株式の譲渡所得になるということでした」
★回答
「そうでしたね」
「株式の譲渡所得になると20%の税率で、他の所得とは合算されない分
離課税の扱いになるのですが、更に税金が安くなる制度を使えるのです」
☆質問
「更に税金が安くなる制度があるのですか?」
★回答
「相続税の取得費加算の特例というものです」
☆質問
「どのような特例なのですか?」
★回答
「前回までの設例では、1株50,000円で取得した株式を80,000円で売却
して30,000円の売却益が出るというものでした」
「50,000円が売却した株式の取得費と言います」
「この特例は、相続税を支払って取得した50,000円の株式に、支払った
相続税の一部を所得費に加算して、株の譲渡所得を計算できるというも
のです」
「つまり、「80,000円(売却額)-50,000円-取得費加算相続税」で株式
の譲渡所得を計算できるのです」
☆質問
「そうすると、売却益は30,000円から取得費加算相続税額を引いた額だ
け少なくなるということですね?」
★回答
「そのとおりです」
「では、その取得費加算相続税の額はどのように計算されるのですか?」
☆質問
「相続税の額が仮に600,000円、相続した財産は6,000,000円、その内自
社株は100株で5,000,000円とします」
「取得費加算相続税の額は、
600,000円×5,000,000円÷6,000,000円=500,000円
と計算されます」
つまり、支払った相続税の内、相続した財産のうちに占める売却した自社
株の金額の割合の額だけ株式の取得費に加算されるのです。
☆質問
「すると、自社株を相続後100株売却したとすると、株式の譲渡における
売却益の計算はどのようになりますか?」
★回答
「8,000,000円-5,000,000円-500,000円=2,500,000円と計算されます」
「取得費加算の特例がないと、8,000,000円-5,000,000円の3,000,000円
となりますから、500,000円売却益が少なくなるわけです」
☆質問
「税率が20%ですから、500,000円×20%=100,000円税金が安くなると
いうことですね?」
★回答
「そのとおりです」
「なお、この特例を受けるには、相続開始の翌日から相続税の申告期
限後3年以内までに譲渡することが必要です」
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