☆質問
『前回は私が生きているうちに、私が持っている自社の株式を自
分の会社に買い取ってもらう場合の税金の説明でした』
『では、私が死んで自分の会社の株式が相続財産となり、それを
子供たちが会社に売却した場合はどうなるのですか?』
★回答
この場合の税金の扱いは、前回の生前の自己株式の売却とは大き
く異なります。
☆質問
『前回の例では、私が50,000円で手にした株式を会社に80,000円
で売却すると、差額の30,000円がみなし配当として、配当所得に
なりました』
『相続で自己株を売却した場合は、これとは違ってくるというこ
とですね?』
★回答
そうですね。
差額の30,000円は、株式の譲渡益とされます。
☆質問
『配当所得ではなくて、今度は株式の譲渡所得ですか?』
★回答
そうなんです、非常にややっこしいのですが、相続で自己株式を
発行会社に売った場合は、株式の譲渡所得となるのです。
☆質問
『30,000円に何%の税金がかかるのですか?』
★回答
20%の税金がかかります。
国税である所得税が15%、地方税である住民税が5%かかります。
☆質問
『配当所得の場合に比べてどうなんですか?』
★回答
配当所得は他の所得と合算されて課税される総合課税でしたが、
株式の譲渡所得は他の所得とは合算されない分離課税です。
☆質問
『他の所得とは関係なく、譲渡益の20%の税金だけ支払えばよい
ということですね?』
★回答
そのとおりです。
株式公開されていない中小企業の株式は、取引所で売却できるわ
けではなく、相続財産とされても相続税の納税が大変になるケー
スがよくあります。
そのような場合に、自分の会社に売却して換金できれば、相続税
の納税もスムーズにできるというわけです。
平成16年度の税制改正で手当てされました。
この制度を適用する要件は、非上場株式等を相続又は遺贈で取得
した個人で、かつ相続税の納税があり、相続開始の翌日から相続
税の申告期限後3年以内までに譲渡することです。
なお、この譲渡には相続税の所得費加算の特例の適用もあります
ので、次回説明いたします。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。