週刊節税教室

簡易課税の選択に経過措置

消費税
第165号 2005/1/10

        新年、明けましておめでとうございます。

         今年もよろしくお願いいたします。

☆質問

『私は今年から消費税の納税義務者になりました』

『消費税の申告方式が2通りあるとのことですが、よく分かりません。ど

のように対応したらよいのですか?』

★回答

消費税の申告方式には本則課税方式と簡易課税方式の2種類があり

ます。

本則課税方式は「預った消費税」から「支払った消費税」を差し引いて

納税額を求めるもので、簡易課税方式は、売上高に事業区分ごとに

定められているみなし仕入率を掛けることにより簡易に納税額を求め

るものです。

ところで2年前の消費税のかかる売上高(課税売上高)はいくらでした

か?

☆質問

『4千万円くらいです』

★回答

簡易課税方式を選択できる事業者は、2年前の課税売上高が5千万

円以下の事業者ですから、あなたは簡易課税を選択することができま

す。

☆質問

『簡易課税を選択するには、前年の12月31日までに選択の届出が必

要であると耳にしたのですが、今からでも選択できるのですか?』

★回答

本来は、おっしゃるとおり選択しようとする年の前年末までに選択届

出書を提出しなければなりません。

しかし、今年(平成17年)は、個人事業者にとって改正消費税法が適

用される初年度であることから、今年だけ経過措置がとられているの

です。

☆質問

『それはどのような経過措置なのですか?』

★回答

平成17年に消費税の課税事業者になる個人事業者で、前年が免税

事業者である者については、平成17年中に簡易課税の選択届出書を

税務署に届け出れば、平成17年について簡易課税を適用できるという

ものです(法人にも経過措置があります)。

☆質問

『なるほど。これからでも間に合うということですね?』

★回答

そういうことです。

本則課税方式で申告する場合と簡易課税方式で申告する場合の納税

額を試算して、いずれか有利な申告方式を選択すれば節税になります。

☆質問

『簡易課税の選択は、17年中に届け出なくてはならないことから、早め

に税務署に届け出ようと思いますが、一度届け出たらもう今年は本則課

税に戻れないのですか?』

★回答

いいえ、一度簡易課税選択の届出をしても、今年中に取り下げの手続き

をすれば本則課税を適用することができます。

いずれの申告方式が得かを十分検討した上で選択する必要があります。

なお、消費税は難解な税制ですので、我々専門家を利用することをお奨

めいたします。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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