週刊節税教室

平成17年税制改正大綱

法人税・所得税
第164号 2004/12/20

☆質問

『先週、平成17年度税制改正大綱が発表されましたが、改正のポイン

トを教えてください』

★回答

まず、定率減税の縮小ですね。

所得税で20%(最高25万円)、住民税で15%(最高4万円)の定率減税

が、平成18年1月から(住民税は18年6月徴収分から)所得税及び住民

税とも半分になります。

  所得税10%(最高12.5万円) 住民税7.5%(最高2万円)

☆質問

『再来年からということで、少しホッとしました』

★回答

次は、耐震性のある中古住宅について税制上の優遇措置を適用すると

いった改正です。

現行の住宅ローン減税の対象となる中古住宅は、耐火建築物(鉄筋コ

ンクリート造、コンクリートブロック造等)で25年以内、それ以外で20年以

内に建築されたものに限られています。

耐震性のある中古住宅については、この築年数の制限がなくなるものと

思われます。

また、耐震性のある中古住宅については、住宅の買い替えの特例、住

宅取得資金にかかる相続時精算課税制度の対象資産とされ、登録免許

税の扱いにおいても税率の軽減措置の対象となります。

これらの扱いは、平成17年4月1日以後の住宅の取得から適用されます。

☆質問

『なるほど。これで中古住宅の相場が上がるかもしれませんね。』

★回答

特定口座に関しては、手元にある株券(タンス株)を特定口座に預け入れ

る期間が、今年いっぱいということでしたが、平成17年4月1日からも制度

を変えて再開されることになりました。

☆質問

『確定申告をしなくて済む源泉徴収ありの特定口座は利用価値がありま

すね』

★回答

通常のNPO法人に対して個人が寄付をしても、寄付金控除の対象にはな

りません。

国税庁長官が認定した認定NPO法人に対する寄付は寄付金控除の対象

になります。

今回の改正で、認定NPO法人の認定基準が緩和されました。

また、寄付金控除の限度額が、総所得金額等の25%から30%に引き上

げられました。

☆質問

『寄付金控除の限度額が引き上げられたことはとってもよいことですね』

★回答

住民税関連では、65歳以上で前年の合計所得金額が125万円以下の場

合、住民税が非課税であった措置が廃止されました(18年分以後の個人

住民税から段階的に)。

また、年の中途で退職した従業員に対しても、住民税を課税する基礎資

料である給与支払報告書を市区町村に提出するようになりました。

この改正は、フリーターやアルバイトなどの短期就労者にも住民税をしっか

り課税しようという措置です(平成18年1月1日以後に退職した人から)。

☆質問

『働いて所得を得たら所得税だけでなく、住民税を負担するのも当たり前

ですよね』

★回答

新しい制度として、人材投資(教育訓練)促進税制というものができました。

青色申告の法人に対して、その期で支出した教育訓練費が、過去2年以内

の教育訓練費の平均額を超えた額の25%の税額控除ができます。

なお中小企業については、さらに率の高い税額控除が適用されるケースが

あります。

税額控除とは、その分だけ税金を差し引くということです。

この制度は平成17年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。

☆質問

『教育訓練費という勘定科目を設けて、従業員の教育訓練にかかる費用を

集計する必要がありますね』

★回答

国民年金保険料について社会保険料控除の適用を受ける場合、保険料の

支払をした旨を証する書類が必要になりました。

☆質問

『国民年金を支払っていないのに社会保険料控除を受けていた芸能人など

がいたことから、このようなことになったのでしょうね』

★回答

今回の税制改正は、大きな改正のない小粒の改正です。

その中でも人材投資(教育訓練)促進税制は、節税に使えそうです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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