☆質問
『最近ストックオプションにかかる税金の判決が新聞に出ていましたが、そも
そもストックオプションて何ですか?』
★回答
ストックオプションとは、勤めている会社の株式を定められた一定の金額で
購入できる権利のことで、株価がその一定の金額を超えて上昇すれば、そ
の差額を利益として得ることができる制度です。
「会社が儲かって、株価が上がれば、自分も儲かる」という、勤労意欲を向
上させるための制度と言えます。
☆質問
「このストックオプションは税金上どのような扱いになるのですか?」
★回答
簡単に言うと、ストックオプションの権利を行使して安く買った株式の金額と
上昇した株価との差額が給与として課税されることになります。
給与とされるのは、雇用契約を元にした労務の対価ということです。
☆質問
『なるはど、で、裁判では何が問題になっているのですか?』
★回答
現在裁判で争っているストックオプションは、自分が勤めている会社の株
ではなくて、その親会社の株式が対象になっているのです。
例えば、マイクロソフトジャパンの社員や役員がアメリカの親会社であるマ
イクロソフト社の株式に対してストックオプションにより利益を得たようなケー
スです。
☆質問
『親会社の株ですと、税務上の扱いが違ってくるのですか?』
★回答
通常、ストックオプションの利益は給与とされますが、それは直接雇用契
約の関係にある自分の勤めている会社の株式が対象であるからです。
ストックオプションの権利を行使すると、勤めている会社からその会社の
株式が交付されます。
つまり、会社からボーナスをもらうのと同じようなことになります。
しかし、これが勤めてもいない親会社から親会社の株が交付されるので
すから、「ストックオプションによる利益は給与となるのか?」という疑問
が出てくるわけです。
☆質問
『給与でないと、何になるのですか?』
★回答
ストックオプションを行使した原告は、「一時所得である」と主張していま
す。
☆質問
『一時所得だと税金が安くなるのですか?』
★回答
そのとおりです。
一時所得ですと、ストックオプションによる利益から50万円を控除して、
さらにその2分の1の額が他の給与所得等と合算されて課税されます。
非常に税金が有利となります。
☆質問
『税務署は給与所得、原告である納税者は一時所得であるとして裁判
で争っているわけですね?』
★回答
そのとおりです。
昨年までの判決は原告勝訴(一時所得である)のものでしたが、今年
になって、1月21日の横浜地裁、1月30日の東京地裁の判決では、逆
に税務署勝訴(給与所得である)の判決となりました。
☆質問
『なんか訳の分からない状態になっていますが、税金が有利な一時所
得に該当するものとしては、他にどのようなものがあるのですか?』
★回答
生命保険の満期金や解約金、懸賞の賞金、競馬の払戻金などがあり
ます。
生命保険の満期金などよくあるケースですが、一時所得に該当し税金
は優遇されているのです。
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