☆質問
『私は、個人事業を長年やってきましたが、昨年法人を新たに設立して法
人成りをしました。
今年の確定申告で、法人成りする前の個人事業の確定申告をするのです
が、何か注意することはありますか?』
★回答
個人事業の法人成りは、個人事業を廃業してその事業を法人に引き継ぐ
ことを言います。
個人事業は年の途中で廃業となり、当然廃業までの所得税の確定申告
を翌年の3月15日までにしなくてはなりません。
この確定申告で、注意しなくてはならないことがいくつかあります。
☆質問
『具体的に教えてください』
★回答
まず、廃業の年の確定申告では貸倒引当金を繰り入れることはできませ
ん。
前年分の貸倒引当金を戻し入れるだけになります。
☆質問
『それから?』
★回答
例えば、4月1日に法人成りしたとすると、個人事業は1月1日から3月31日
までの3ヶ月となります。
配偶者などを事業専従者として給料を支払っている場合には、6ヶ月を超え
て事業主の仕事に従事している必要がありますが、このケースではどうなる
のでしょうか?
☆質問
『事業は3ヶ月しかやっていないから、事業専従者に支払った給与は
必要経費として認められないのですか?』
★回答
そんなことはありません。
1月1日から廃業した日までの期間の2分の1を超えて事業に従事していれば
認められます。
☆質問
『なるほど。他にはありますか?』
★回答
あります。
一番忘れやすいのが事業税です。
事業税は個人事業において、所得から290万円の事業主控除を差し引いた
残りの金額に3%~5%の税率を掛けて課税されるものです。
事業主控除の290万円がありますから、所得が290万円以下であれば事業
税はかからないことになります。
廃業年度は、3ヶ月だけだとすると、290万円の4分の1である72万5,000円が
事業主控除となります。
この事業主控除を超える所得があれば廃業年度も事業税が課税されること
になります。
事業税は個人事業の必要経費となります。
☆質問
『なるほど、この事業税が廃業年度の確定申告とどう関係があるのですか?』
★回答
個人事業税の納税通知書が来るのは、対象年度の翌年になるのが通常で
す。
しかし、事業をやめた翌年に必要経費となる事業税の納税通知が来ても、
必要経費とする事業そのものがありません。
これでは、大変です。税金を余計に払ったままになります。
☆質問
『では、どうしたらよいのですか?』
★回答
廃業年の確定申告で、課税される事業税の見込み額を計算して、廃業年の
必要経費に算入することが認められています。
忘れずに計上しましょう!
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