☆質問
『55万円の青色申告特別控除の適用を受けるには、正規の簿記の原則に従っ
た帳簿を記帳しなければならないとされていますが、いったい正規の簿記の原
則とは、どういったものなのですか?』
★回答
正規の簿記の原則とは、会計の教科書に載っている大原則です。
正規の簿記とは以下の3つの条件を満たす記帳方法であるとされています。
(1)個人の事業活動のすべてが帳簿に記録されていること
(2)帳簿記録が領収書や請求書などで検証可能であること
(3)帳簿が一定の方式で組織的に記録されていること
抽象的な条件ですが、これらの条件を備えた記帳方法が複式簿記による記帳
とされています。
☆質問
『では、複式簿記とはどのような記帳方法なのですか?』
★回答
複式簿記とは英語でdouble-entry bookkeepingといい、単式簿記と対比さ
れる記帳方法です。
すべての取引を借方(左側)と貸方(右側)に分けて(これがdouble-entry)
記帳し、現預金や借入金といった財産の動きと商売の儲けである利益の動き
が連動する記帳方法です。
この複式簿記によると、毎月の試算表が自動的に作成され、決算時には貸
借対照表と損益計算書も自動的に作成されます。
☆質問
「なるほど。複式簿記とは取引を左と右に分けて記帳して、その後の処理に
より自動的に決算書まで作成できるような記帳方法を意味するのですね?」
★回答
そのとおりです。
取引を左と右に分けて記帳する帳面を仕訳帳と言い、その仕訳帳から旅費
交通費や通信費、現金、預金などの科目ごとに集計する総勘定元帳を作成
して、総勘定元帳の月の合計で試算表を作り、年間の合計で損益計算書や
貸借対照表といった決算書を作成するというのが教科書的な説明です。
☆質問
『しかし、今の時代これを手作業でやるのは大変だと思いますが?』
★回答
そうですね。
複式簿記の機能を備えた市販の会計ソフトでやると楽にできます。
☆質問
『友人が個人事業をやっているのですが、先週税務調査が入って、会計ソフ
トへの入力を「確定申告時期にまとめてやっている」と言ったら、「まとめて入力
するのは正規の簿記ではない。55万円の青色申告は受けられないことがある」
といわれたようですが?・・・』
★回答
はじめに説明したとおり、正規の簿記の原則は3つの条件を満たしていれば良い
わけで、その要件を満たす複式簿記を採用していれば問題ないわけです。
「毎日経理処理しなければ、正規の簿記ではない」なんてどこにも書いてはありま
せん。
調査官がよくやる素人に対する「おどし」ではないでしょうか。
このような調査官に対応するには、ぜひとも当事務所発行の「週刊税務調査日記」
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