☆質問
『10月18日発行の週刊ダイヤモンド(株式会社ダイヤモンド社)に上場株式等
の架空の売却損失をつくるという記事が出ていましたが、説明してください』
★回答
それにはまず、平成15年から適用される「上場株式等の譲渡損失の繰越控
除制度」を理解しなければなりません。
☆質問
『それは、どのような制度ですか?』
★回答
上場株式等を譲渡して、その年に結果として売却損が発生した場合に、その
売却損を翌年以降3年間にわたって繰り越せるという制度です。
つまり、翌年以降の売却益と相殺することができるのです。
次に理解しなければならないのが「タンス株券」です。
☆質問
「タンス株券って、タンスの中に入っていた株券のことですか?」
★回答
そうですね。つまり、「いつ、いくらで買ったのか分からない株券」のことです。
今年から、株式の譲渡による納税の仕方が、「売った金額」から「買った
金額」を差し引いて申告納税する方法だけとなりました。
ですから、売却する株式の「買った金額」が必ず必要になります。
そこで、タンスの奥にしまいこんでいくらで買ったのか分からないタンス株に
ついて何らかの救いの手を出すことが必要になりました。
その救いの手が「みなし取得価格」という制度です。
☆質問
『それは、どのような制度ですか?』
★回答
取得価格(買った金額)が分からない株式について、2001年10月1日の終値
の80%の金額をその株式の買った金額とするという制度です。
そして、最後に理解しなければならない制度が特定口座です。
☆質問
『特定口座ですか?』
★回答
特定口座とは、証券会社に設ける一般の口座とは別の口座で、この口座で
株式の売買をすれば確定申告をしなくても済むといった便利な口座です。
以上説明した譲渡損の繰越控除制度、みなし取得価格制度、特定口座制度
を利用すると次のような節税?(ちょっとやりすぎ)ができるのです。
2001年10月1日の終値(5,000円)より今現在の株価(500円)がかなり低い
銘柄を買います。
その株券を引き出して特定口座に入庫します。
そして、入庫時に買った金額は不明として、みなし取得価格を選択します。
この時点で、この株の買った金額は2001年10月1日の終値の80%になります。
つまり、5,000円×80%=4,000円が買った金額です。
そして、この株を現在の株価である500円で売却します。
すると、売った金額500円から買った金額4,000円の差額▲3,500円が株式の
売却損となり、今年の他の株式の売却益と相殺できるばかりではなく、相殺
しきれずに残った売却損は、来年以降3年間も繰り越すことができるのです。
まるで、マジックみたいなことですが、現行の証券税制ではこのようなことが
やろうと思えばできてしまうのです。
ただし、この売却損は実体を伴わない架空のものですから、このような取引
に対して税務当局がただ見ているだけとは思えませんが・・・
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