☆質問
『役員報酬は一度決めると一年間は変更ができないと税理士さんに
言われたのですが、本当ですか?』
★回答
「一年間変更できない」という決まりはありません。
税法のどこにもそのようなことは書いてないと思います。
☆質問
『では、なぜそのようなことを言ったのですか?』
★回答
おそらく超保守的にそう言ったのかもしれません。
役員報酬と役員賞与の区分は微妙で、役員賞与となると法人税法上
経費として認められませんので・・・
☆質問
『では、役員報酬と役員賞与について一から教えてください』
★回答
はい、まず役員(取締役、監査役など)と従業員の会社との関係の違
いを理解しましょう。
従業員と会社の関係は雇用契約です。
一方、役員と会社の関係は委任契約です。
雇用契約とは「従業員が会社に対して、労働することを約束し、
会社が従業員に労働の対価として報酬を与えることを約束する契約」
です。
委任契約とは「会社(株主)が役員に対して会社の経営を委託し、
役員がその職務執行の対価として報酬を得ることを約束する契約」
です。
雇用契約における給与も賞与も労働の対価ですから、会社の経費とな
ります。
役員については、会社が利益を上げるための職務執行の対価について
は、役員報酬として会社の経費となります。
しかし、役員が職務執行をした結果生じた利益の分配としての役員賞
与は、配当と同じ利益処分の一形態であるとして会社の経費とはなり
ません。
☆質問
『でも、利益を上げるための対価と利益を上げたことに対する対価っ
て、簡単に判断できないと思うのですが?』
★回答
そのとおりです。
ですから、税法では形式的に役員報酬と役員賞与を分けています。
つまり、役員報酬(経費となる)とは、「継続して毎年所定の時期に
定額を支給するもの」としています。
役員賞与(経費とならない)は「上記以外の臨時的な報酬」と定めて
います。
☆質問
『ということは、定時定額の報酬が役員報酬で、それ以外の臨時的な
報酬が役員賞与ということになるわけですね?』
★回答
そのとおりです。
☆質問
『だから超保守的に、一度決めた役員報酬は1年間変更できないと、税理士さん
が言っていたのですね?』
★回答
そうですね。
そうすれば、臨時的な報酬の発生する余地がないですもんね。
しかし、その税理士さんは本当に今言ったような理屈がわかっててそ
う言ったのかな・・・?
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