週刊節税教室

消費税制の見直し

消費税
第54号 2002/10/7

☆質問

『今週の新聞に政府税制調査会が消費税の見直しとして、免税点制度を法人に限って廃止するとありましたが、どのような影響があるのでしょうか?』

★回答

免税点制度とは、事業者の2年前の消費税のかかる売上高が3千万円以下の場合には、消費税の納税義務を免除するという制度です。

消費税の計算は複雑なので、小規模事業者の事務負担の軽減のために設けられた制度です。

現行の消費税では、法人・個人を問わずこの免税点制度が適用されています。

法人の場合、この免税点制度を利用して消費税の節税(?)をする方法があります。

☆質問

『どのような方法で消費税を安くするのですか?』

★回答

1社で売上高が9千万円の会社(サービス業)で、簡易課税という消費税の計算方法ですと、消費税の納税額は9千万円×2.5%で225万円になります。

そこで、この法人とは別に2社の法人を設立して業務を3社で3等分します。

すると各法人の売上高は3千万円となり、免税点制度が適用されて消費税の納税義務が免除されます。

このように3社とも売上高が3千万円以下となれば、225万円の消費税が免除されることになるのです。

免税点制度の廃止により、このようなことはできなくなります。

☆質問

『なるほど、よく分かりました。一方、個人事業者については免税点制度が存続するようですが?』

★回答

個人事業者には3千万円以下という基準を引き下げて(1千万円以下程度で検討中)免税点制度を存続するという議論がなされています。

免税の基準が1千万円ですと、かなりの個人事業者の方が消費税の納税義務

者になることでしょう。

これからは、消費税といった間接税を重くして、所得税や法人税といった直接税を軽くしていこうという国の方針ですから、益々消費税の重要さが増すことになります。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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