週刊節税教室

居住用財産の妻への贈与

相続税・贈与税
第37号 2002/6/10

『妻に私の財産を贈与しても税金がかからない制度があると聞いたのですが?』

★回答

はい、贈与税の配偶者控除を利用すると良いでしょう。

☆質問

『どのような制度ですか?』

★回答

婚姻期間20年以上の夫婦の間で居住用不動産を最高2,110万円贈与しても贈与税がかからない制度です。

以下の要件が必要です

(1)居住用の土地・建物または居住用の土地・建物を購入するための金銭の贈与

(2)贈与した翌年の3月15日までに住んでいることと、引き続き住む見込みである

  こと

(3)贈与税の申告をすること

☆質問

『2,110万円以内であれば、今年1,000万円分贈与して5年後に残りの1,110万円分を贈与しても良いのですか?』

★回答

ダメです。この制度は一生に一度だけしか使えません。

☆質問

『現在住んでいる土地建物は2,110万円以上するのですが、どのようにして贈与するのでしょうか?』

★回答

現在の家の土地建物の価値が1億円とした場合に、2,110万円÷1億円の割合である21.1%の共有持分割合を奥様に贈与することになります。

☆質問

『土地建物2,110万円分をどのようにして計算したらよいのでしょうか?』

★回答

土地は税務署が各道路ごとに評価額を決めている路線価を元に、建物は固定資産税評価額を元に計算します。

☆質問

『土地だけを妻に贈与したらよいのか、土地と建物を贈与したらよいのか、いずれが良いのでしょうか?』

★回答

建物は時間の経過とともに評価は確実に落ちていきますが、土地は今の状況ではこれ以上価値が落ちる可能性は低いと思われますし、地価が上がる可能性もあります。

そうすると、資産価値および、相続税対策としては土地を贈与した方が得ということがいえます。

☆質問

『土地だけでなく、建物も一緒に贈与した方が良い場合がありますか?』

★回答 

はい。今後不動産の価格が上昇し、将来自宅を売却する場合を想定すると、土地だけではなくて、建物の一部も一緒に贈与した方が良いでしょう。

というのは居住用財産を売った場合の3千万円の特別控除は、建物の売却が必要なのです。土地だけの売却では売却益から3千万円引いてくれません。

建物を100分の1でも共有持分として奥様に贈与すれば良いのです。

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
◆発行 アトラス総合事務所

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