【先 生】
「さて、前回では、資本金1,000万円以上の新設法人が、その基準期間が無い事業年度、まあ一般的には第1期目と第2期目が該当すると思うけれど、その第1期目又は第2期目に含まれる課税期間中に次の要件を満たす場合には、その調整対象固定資産の課税仕入を行った日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、免税事業者にはなれないし、また、簡易課税を選択する事が出来ないってところまでお話ししたのだったわね?」
〔要件〕
■調整対象固定資産の課税仕入を行い、
■その課税仕入を行った課税期間について本則課税により申告する場合。
【生徒♂】
「うん。そうだよ。どうしてこんなめんどくさい規制が出来たのさ?」
【生徒♀】
「そうですわよ。またしても私を悩ますタネが増えてしまいましたわ。」
【先 生】
「まあそうグチらないで聞きなさいな。先に説明したとおり調整対象固定資産というのは、その購入価額自体が結構多額になるケースが多いのよ。」
【生徒♀】
「確か棚卸資産に該当しない固定資産で、消費税抜きの金額が100万円以上のものでしたわね?」
【生徒♂】
「100万円以上ってことだからかなり高額になるよね?」
【先 生】
「そうなの。例えば、ビル一棟とか大規模な機械装置といった大掛かりな資産になるとそれこそ数千万円とか数億円になるケースも珍しくないの。」
【生徒♀】
「確かにそうですわね。消費税抜きの本体価格が1億円だったら、その消費税だけで800万円ですものね。」
【先 生】
「納税義務者が消費税を税務署へ申告納付する際の計算の仕組みは、簡単にいうと次の(1)から(2)を控除した残額を納付する、という仕組みになっているの。このような計算方式を『本則(原則)課税方式』と呼ぶのよ。」
(1) 売上等により預かった消費税額
(2) 仕入等により支払った消費税額
【生徒♂】
「なるほど。つまり会社やお店等の納税義務者が、僕達消費者から預かった消費税額から、納税義務者が商品等を仕入れる際に支払った消費税額を差し引いて、その差引後の残額を税務署へ納付するって訳だね?」
【先 生】
「そのとおりよ。納税義務者が私達消費者から預かる消費税額を『課税売上に係る消費税』、納税義務者が商品等を仕入れる際に支払う消費税額を『課税仕入に係る消費税額』と呼んだりするわ。」
【生徒♀】
「では、納税義務者が調整対象固定資産を購入するという取引は、『課税仕入』に該当する訳ですわね?」
【先 生】
「そのとおりよ。」
【生徒】
「という事は、調整対象固定資産の購入に伴って納税義務者が支払った消費税額は、その納税義務者が売上等によって預かっている消費税額から控除出来るって事だね?」
【先 生】
「そうよ。じゃあ、高額な調整対象固定資産を購入した事に伴い課税売上に係る消費税額よりも課税仕入に係る消費税額の方が多くなったらどうなるかしら?」
【生徒♀】
「ええと・・・マイナスになってしまいますわね?」
【先 生】
「正解!マイナスになってしまうわ。実はここに調整対象固定資産に関する規制理由があるのよ。」
【生徒♂】
「ほほぉ・・・では、その理由とやらを具体的に聞かせ貰おうじゃありませんか。」
【先 生】
「おっ!珍しくノッてきたわね。じゃあ次回はその理由に具体的に踏み込んでいくとしますか!ではまた次回!ばいばい!」