【先 生】
「さて、新たに設立された法人について第1期目と第2期目が新設法人に該当していたとしても第3期目になれば、基準期間が存在する事になるわよね。」
【生徒♂】
「うん。そうだね。第3期目になれば第1期目が基準期間ってことになるね。」
【先 生】
「納税義務判定の大原則は、基準期間の課税売上高で判定する訳だから、第1期目の課税売上高が1,000万円以下であれば、第3期目は免税事業者になるわ。」
【生徒♀】
「そうですわね。新設法人の特例というのは、第1期目と第2期目は、その事業年度の基準期間が無く、且つ、その事業年度開始の日における資本金額が1,000万円以上だから課税事業者になる、という内容だけれど、第3期目であれば、原則どおり基準期間の課税売上高で判定しますものね。」
【先 生】
「ところが、例えば、新設法人の納税義務が免除されない事となる第1期目において、調整対象固定資産の課税仕入を行い、且つ、その課税仕入を行った課税期間について本則課税による申告をしていた場合における第3期目の納税義務判定には、とても注意が必要なのよ。」
【生徒♂】
「えっ!そうなの?第3期目の納税義務の有無は、単純に第1期目の課税売上高で判定するんじゃないの?」
【先 生】
「ところがそうではないのよ。結論から言うとね、この場合の第3期目は、第1期目の課税売上高の金額に拘らず強制的に課税事業者に該当する事になるのよ。」
【生徒♀】
「まあ!びっくりですわ。第1期目の課税売上高の金額に拘らずって事は、極端な話、第1期目の課税売上高が0円であったとしても第3期目は課税事業者になってしまうって事ですの?」
【先 生】
「そうなの。次の要件を満たす場合には、その調整対象固定資産の課税仕入を行った日の属する課税期間からその課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、免税事業者にはなれないのよ。(消法第12条の2第2項」
〔要件〕
■資本金1,000万円以上の新設法人が、その基準期間が無い事業年度(一般的には第1期目と第2期目)に含まれる各課税期間中に、
■調整対象固定資産の課税仕入を行い、
■その課税仕入を行った課税期間について本則課税により申告する場合。
【生徒♂】
「なるほど。課税期間が12ヶ月間だとすると、第1期目に調整対象固定資産の課税仕入を行えば、第1期目~第3期目の各課税期間は、強制的に課税事業者になってしまうって訳だね?」
【生徒♀】
「同じく調整対象固定資産の課税仕入を行った日が第2期目であれば、第2期目~第4期目までの各課税期間が強制的に課税事業者になる訳ですわね?」
【先 生】
「そのとおりよ。しかもその強制的に課税事業者になってしまう各課税期間については簡易課税を選択する事も出来ないの。」
【生徒♂】
「何だかうっかりしていると見逃してしまいそうな特例だね。どうしてこういう特例があるのかな?」
【生徒♀】
「そうですわね。私を苦しませる特例が出来た理由とやらを聞かせて欲しいものですわ。」
【先 生】
「では、次回は、この特例が出来た理由を簡単に説明するとしますか。ではまた次回!ばいばい!」