【生徒♂】
「さあ、先生、いい加減に機嫌を直してさ、個人の場合の課税期間特例選択届出書の効力発生の特例について教えてちょんまげ。」
【生徒♀】
「そうですわ。『先生のような大人にだけはならないように心に誓う』だなんて、私も少々言い過ぎましたわ。さあ、そのひん曲がったヘソを元に戻してくださいな。」
【先 生】
「・・・しょうがないわね。あなた達がそこまで頼み込むのなら、機嫌を直してあげてもいいわよ?」
【生徒♂】
「ふぅ~、しちメンドくさい先生だよ、まったく・・・」
【先 生】
「ん?何か言った?」
【生徒♀】
「さあさあ!個人の場合の課税期間特例選択届出書の効力発生の特例ってどんな内容ですの?」
【先 生】
「個人の場合の効力発生の特例には、下記の2パターンがあるのよ。」
1.事業を開始した場合
2.相続があった場合
【生徒♂】
「1の『事業を開始した場合』っていうのは、個人が新たに事業を始めた場合って事でしょ?」
【先 生】
「まあ、大体そのとおりなのだけれど、より厳密に言うと『国内において課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く)に係る事業を開始した場合』となるわ。特定資産の譲渡等については、また別の機会に説明するからね。」
【生徒♀】
「なるほど。例えば、国外における物品販売等の事業であれば、日本の消費税の範疇外だから、それを新たに開始したとしても今回の届出効力発生の特例対象には入らない訳ですわね?」
【先 生】
「ええ、そのとおりよ。」
【生徒♂】
「2.の相続があった場合っていうのは、相続によって、その被相続人の事業を承継した場合の事かな?」
【先 生】
「そうよ。ここでいう『相続人』には、個人事業者である相続人はもちろんのこと、事業を営んでいない相続人、例えばサラリーマンである相続人も含まれるわよ。(消基3-3-2_二号)」
【生徒♀】
「なるほど。例えば、国内で八百屋を営んでいた父親が亡くなって、サラリーマンである長男がその八百屋を引き継いだ場合もこの届出効力発生の特例対象になる訳ですわね。」
【先 生】
「ええ、そのとおりよ。相続があった場合に気を付けて欲しいのは、被相続人が提出していた課税期間特例選択届出書の効力は、相続によりその被相続人の事業を承継した相続人には引き継がれないってことなの。(消基3-3-2(一)」
【生徒♂】
「なるほど。その相続人が課税期間短縮の特例を受けたい場合には、新たに課税期間特例選択届出書を提出しなければならないって訳だね。」
【生徒♀】
「それで、事業開始や相続があった場合の届出効力発生の特例ってどういう取り扱いになっていますの?」
【先 生】
「届出の効力発生は、『提出日の属する期間の翌期間の初日以後』に生じるのが原則なのだけれど、特例に該当する場合には、『提出日の属する期間の初日以後』に生じることになるのよ。」
【生徒♂】
「じゃあ、例えば、3ヶ月毎に課税期間を短縮する場合において、相続開始日が4月20日、届出書の提出日が5月31日であるときには、届出の効力発生日は4月1日からになるって訳だね?」
【先 生】
「正解♪ そのとおりよ。最後にもう1つ注意して欲しい点があるのよ。」
【生徒♀】
「何かしら?」
【先 生】
「相続があった場合において、その被相続人の事業を承継した相続人が個人事業者以外、例えばサラリーマンである場合には、特に制限無くこの届出効力発生の特例対象になるのだけれど、事業を承継した相続人が個人事業者である場合にはちょっと違うのよ。」
【生徒♂】
「へぇ~。どんな違いがあるのさ?」
【先 生】
「被相続人の事業を承継した相続人が個人事業者である場合には、その被相続人が営んでいた事業が、課税期間短縮の特例を受けていた事業でなければ、この届出効力発生の特例対象にならないのよ。(消令41条1項二号)」
【生徒♀】
「なるほどね。相続人が個人事業者か否かによって、特例を受けられるかどうか?が変わってきますのね。これはうっかりすると間違えてしまいそうですわね。」
【先 生】
「そうよ。気を付けないといけないわね。続いて『課税期間短縮の変更』について説明しようかと思っていたのだけれど、私うっかりと某デパートで『有名ブランド品もってけドロボー大バーゲン』を開催していたのを忘れていたわ。」
【生徒♂】
「ちょっと!ちょっと!また途中で抜け出してバーゲンに行くつもりかい?」
【先 生】
「あら、あたしを誰だと思っているの?あたしよ、あたし!だったら行くに決まっているじゃない?」
【生徒♀】
「私、やっぱりこういう大人にだけはならないように心に固く誓いますわ・・・」
【先 生】
「という訳で、バーゲンに行ってくるから今回はここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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