【先 生】
「さて、今回は下記の条件で吸収合併があった場合において、A社の合併事業年度の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であったときのA社の納税義務についてみていく事にするわね。」
■(合併する日)平成27年1月1日
■合併法人(A社)
〔第10期:合併事業年度〕平成26年4月1日~平成27年3月31日
■被合併法人(B社)
〔合併事業年度〕平成26年7月1日~平成26年12月31日
【生徒♀】
「A社の第10期に係る特定期間の課税売上高も1,000万円以下という前提でしたわね?」
【先 生】
「ええ、そのとおりよ。」
【生徒♂】
「A社の合併事業年度である第10期の基準期間における課税売上高と特定期間における課税売上高が共に1,000万円以下なんだから、普通に考えたらA社の第10期は、免税事業者になるよね?」
【先 生】
「そうね。吸収合併という特殊事情がなければ、A社の第10期は、免税事業者になるわ。でも今回のケースでは、B社を吸収する事によってB社の事業を承継しているからそう単純ではない訳よ。」
【生徒♀】
「では、A社の第10期の納税義務は、どう考えれば良いのですの?」
【先 生】
「A社の合併事業年度である第10期の納税義務を考える際には、2つの期間に分けて考えると理解し易いと思うわ。」
【生徒♂】
「2つに分ける??」
【先 生】
「そうよ。A社の第10期を次の2つの期間に区切って考えるのよ。」
〔1〕平成26年4月1日~平成26年12月31日まで
〔2〕平成27年1月1日~平成27年3月31日まで
【生徒♀】
「なるほど。つまり、『 〔1〕期首から合併の日の前日まで』と『 〔2〕合併の日から事業年度終了の日まで』の2つに区切るのですわね?」
【先 生】
「そのとおりよ。先ず、〔1〕の期間、つまり、『期首から合併の日の前日まで』の期間については、その基準期間や特定期間における課税売上高が1,000万円以下なのだから、原則どおり免税事業者に該当するのよ。」
〔生徒♂〕
「なるほど。確かに〔1〕の平成26年4月1日~平成26年12月31日までの期間については、まだ吸収合併が行われていないんだから、素直に原則に従って納税義務の有無を考えればいいって訳だね。」
【先 生】
「そのとおりよ。で、問題は〔2〕の期間ね。」
【生徒♀】
「ここが大問題ですわね・・・。何やら難しそうな気配がプンプンするのですけれど・・・?」
【先 生】
「合併があった日からその事業年度終了の日までの間の納税義務については、A社の合併があった日の属する事業年度の基準期間に対応する期間におけるB社の課税売上高が1,000万円を超えるか否かによって判定するのよ。」
【生徒♂】
「ん!その『基準期間に対応する期間』とは何者ぞ??」
【先 生】
「基準期間に対応する期間というのはね、『合併法人の合併があった日の属する事業年度開始の日の二年前の日の前日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した被合併法人の各事業年度』を指すのよ。(消令22条1項)」
【生徒♂】
「え~と・・・今のは日本語かな?チンプンカンプンなんだけど・・・??」
【生徒♀】
「あなたはホントにおバカさんね。日本語に決まっていますでしょ。」
【先 生】
「そういうあなたは、今のをきちんと理解出来たのかしら?」
【生徒♀】
「もちろんチンプンカンプンですわ♪」
【生徒♂】
「何故か誇らしげだね・・・」
【先 生】
「ホントにしょうがない子達ね・・・。この『基準期間に対応する期間』の捉え方は重要だから、次回の授業であなた達の脳みそにぎっちりと詰め込んであげるからね。覚悟しておきなさい!」
【生徒♂】
「ひ~!そんなに詰め込まれたら鼻の穴から出て来ちゃうよ・・・」
【生徒♀】
「耳の穴からも出て来てしまいそうですわ・・・」
【先 生】
「両方の穴に栓をしておきなさい!という訳で今回は、ここまで。ではまた次回!ばいばい!」
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