☆【生徒】
商品、製品、原材料といった棚卸資産を事業者が所有していると、消費
税の扱いで注意しなければならない時があると聞きました。
どのようなことですか?
★【先生】
免税事業者が課税事業者になる場合と、反対に課税事業者から免税
事業者になる場合に注意しなくてはなりません。
☆【生徒】
へ~ そうなんですか?
具体的に教えてください。
★【先生】
3月決算の法人を例に説明します。
ではまず、免税事業者が課税事業者になる場合です。
3月31日までは免税事業者で、翌日の4月1日から課税事業者です。
3月31日現在の棚卸資産の内、免税事業者の時に仕入れた棚卸資産
については、課税事業者になった4月1日以降に棚卸資産に含まれる消
費税額を「支払った消費税」として計上できるのです。
☆【生徒】
消費税納税額は「預った消費税」から「支払った消費税」を引くことにより
計算されるから、この処理を忘れると消費税が損になりますね?
★【先生】
そのとおりです。
☆【生徒】
でも、なぜ免税事業者の時に仕入れた棚卸資産の消費税が課税事業
者になった時点で「支払った消費税」として処理されるのですか?
★【先生】
免税事業者の時に仕入れた棚卸資産を課税事業者になったときに販売
すると、その売上高に含まれる消費税は「「預った消費税」として経理処
理されるので、その見合いとして棚卸資産の消費税部分を「支払った消
費税」として計上するのです。
☆【生徒】
なるほど。
本来、棚卸資産を仕入れたときに計上する「支払った消費税」を、免税
事業者の時は計上できなかったので、課税事業者になったときに売上
との見合いで「支払った消費税」を計上するということですね?
★【先生】
そうです。
課税事業者が免税事業者になった場合は、3月31日現在の棚卸資産
の内、課税事業者の時に仕入れた棚卸資産にかかる消費税は、課税
事業者の年度では「支払った消費税」を計上しません。
☆【生徒】
4月1日以降の免税事業者の期間で販売されるので、売上高に含まれる
消費税を「預った消費税」として経理処理しないから、その見合いでその
ような処理をするのですね?
★【先生】
そうです。
課税事業者の時に棚卸資産を仕入れた時点で「支払った消費税」は計
上されますが、3月31日に在庫として残っている棚卸資産に係る消費税
に関しては仕入時に計上した「支払った消費税」を取り消す処理がされ
るのです。
☆【生徒】
なるほど。
よく分かりました。
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。