☆【生徒】
会社を設立しました。
設備投資は資金繰りがきついので5年間の所有権移転外ファイナンス・リー
ス(通常のリースです)でやりました。
資本金1,000万円未満の新設法人ですので、設立1期目と2期目が消費税
の免税事業者と聞きました。
★【先生】
そのとおりです。
1期目と2期目は、消費税の納税義務はありません。
☆【生徒】
リースでした設備投資はかなりの金額になるのですが、消費税の免税事業
者ですので消費税のことは何も気にしなくて良いですよね?
★【先生】
いいえ違います。
免税事業者であっても、リース取引の会計処理次第で将来の消費税納税
額が違ってくるのです。
☆【生徒】
え~本当ですか?
★【先生】
本当です。
所有権移転外ファイナンス・リースの会計処理は、支払リース料の総額を
リースした時点で資産計上するのが税務上原則的な処理となっています。
この場合、リース料総額に含まれる消費税は、資産計上した時点で「「支払
った消費税」として扱われます。
☆【生徒】
原則以外の例外的な経理処理もあるのですね?
★【先生】
そうです。
リースを組んだ時点で資産計上しないで、リース料を支払った時点で損金
で計上する方法も認められています。
☆【生徒】
その処理だとリース料を支払った時点で「支払った消費税」が認識されるの
ですね?
★【先生】
そうです。
資産計上の処理をすれば資産計上時に「支払った消費税」が認識され、リ
ース料支払時に損金経理する会計処理をすれば、リース料の支払時に
「支払った消費税」が認識されます。
☆【生徒】
結局、「支払った消費税」が認識されるタイミングが違ってくるということです
ね?
★【先生】
そうです。
でも、これが消費税の納税額に影響してくるのです。
☆【生徒】
消費税の納税額は、「預った消費税」から「支払った消費税」を差し引いて
求められますが、当社は設立1期目と2期目は消費税の免税事業者ですか
ら、その間は納税義務はありません。
★【先生】
そうですね。
ですから、今回のリース取引の会計処理を資産計上する方法によると、免税
期間で「支払った消費税」が認識され、消費税計算に一切影響はありません。
一方、リース料の支払時に損金経理する方法だと、リース開始から5年間に
渡ってリース料の支払時に「支払った消費税」が認識されるため、3期目以降
の消費税の納税義務者となる期間において消費税の計算で納税額がその分
有利になります。
つまり、設立3期目以降、資産計上する会計処理ではその期間に「支払った消
費税」を認識できないのですが、リース料支払時に損金経理する方法だとその
期間においても「支払った消費税」が認識されるため、「預った消費税」から引
かれる「支払った消費税」の金額が多くなることから、消費税の納税額がその分
少なくなるのです。
☆【生徒】
なるほど。
会計処理ひとつで納税額が変わるなんて、何か変な感じもしますが、節税で
きるわけですから、知らないと損ですね。
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