★【先生】
引き続き、法人成りした場合であっても、あえて消費税が免税とならないことに
よって得をする場合があるという話をしています。7週目になりました。
☆【生徒】
消費税の「還付」を受けるにあたって、重要なことが3点ある。第1点目は、どの
ような場合に、預った消費税よりも支払った消費税の方が多くなるのか。続いて
第2点目の、新設法人が還付を受けるためには手続きが必要であるということ。
★【先生】
そして第3点目、「還付」を受けるために「課税事業者選択届出書」を提出した場
合には、「課税事業者選択不適用届出書」の提出があるまで、その効力がずーっと
続くので、輸出売上がすごく多くて毎期「還付」を受けるような事業者以外は、早々に
「課税事業者選択不適用届出書」の提出が必要である、ということについて話してい
る最中でした。
☆【生徒】
「課税事業者選択届出書」を出したすぐ後に「課税事業者選択不適用届出書」を
提出することはできない、という話でしたよね。
★【先生】
今週は、「課税事業者選択不適用届出書」には、提出の制限がある、という話です。
☆【生徒】
提出の制限?
★【先生】
そうです。条文には概ね次のような文言が記載されています。
「~課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き、
課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税期間の翌課税期間※の初日
から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、課税事業者選
択不適用届出書を提出することができない。
※その提出をした日の属する課税期間が事業を開始した日の属する課税期間その
他一定の課税期間である場合には、その課税期間」
☆【生徒】
「~課税事業者選択届出書・・・提出することができない・・・?」
★【先生】
また、「課税事業者選択不適用届出書の提出があったときは、その提出があった
日の属する課税期間の末日の翌日以降は、課税事業者の選択の届出は、その効
力を失う。」とも記載してあります。
☆【生徒】
「・・・効力を失う・・・?」
★【先生】
少し難しいですね。では、文言をバラバラにして考えてみましょう。
「~課税事業者選択届出書を提出した事業者は、事業を廃止した場合を除き」は
そのままの意味ですね。次に「課税事業者選択届出書を提出した日の属する課税
期間の翌課税期間※」とは、課税事業者選択届出書を提出した課税期間の翌課
税期間のことを意味しています。さらに「~の初日から2年を経過する日の属する
課税期間の初日以後」とありますので、提出をした課税期間の翌々課税期間の初日、
ということになります。つまり、翌々課税期間の初日以後に初めて「課税事業者選択
不適用届出書」を提出することができる、ということです。
☆【生徒】
例えば事業年度が4月1日~3月31日の法人が、平成20年1月15日に課税事
業者選択届出書を提出した場合には、平成19年4月1日~平成20年3月31日が
提出をした課税期間。その翌課税期間ですから平成20年4月1日~平成21年3月
31日の課税期間。その初日から2年を経過する日は平成22年3月31日。平成
22年3月31日の属する課税期間の初日は平成21年4月1日。つまり平成21年4
月1日以後に初めて課税事業者選択不適用届出書を提出することができる、という
ことですね。
★【先生】
さらに※の例外を忘れないでください。その提出をした課税期間が事業を開始した
日の属する課税期間である場合には、翌課税期間ではなく、その課税期間となります。
☆【生徒】
上記の例だと、平成19年4月1日~平成20年3月31日の課税期間が第1期で
ある場合には、課税事業者選択不適用届出書は、1期繰り上がって、平成20年
4月1日から提出することができる、ということですね!
★【先生】
そうです。
続けて、不適用の届出の効力については、「~提出があったときは、その提出が
あった日の属する課税期間の末日の翌日以降は、課税事業者の選択の届出は、
その効力を失う。」とあります。つまり提出があった課税期間の翌課税期間は、課税
事業者の選択の届出書は取り消されますよ、ということです。
☆【生徒】
ということは、上記の例でいうと、平成21年4月1日に「課税事業者選択不適用
届出書」を提出すると、平成22年4月1日~平成23年3月31日の課税期間から、
平成20年4月1日に提出すると、平成21年4月1日~平成22年3月31日の課税
期間から、「課税事業者選択届出書」の効力がなくなる、ということですね。
「課税事業者選択不適用届出書」の効力が生じる、というよりも、「課税事業者
選択届出書」の効力がなくなる、という書き方なのですね。
★【先生】
そうです。
提出制限については、第1期がまるまる1年あると上記のような流れになりますが、
第1期がまる1年ないような場合には、「課税事業者選択不適用届出書」の提出制限
が変わってきますので、注意してください。
また、「課税事業者選択届出書」の効力が取り消されるということは、単に原則に
戻って2期前の課税期間の課税売上高が1,000万円を超えているか否かで判定
する方法に戻る、というだけであって、決して「課税事業者選択届出書」の効力が取り
消されることイコール納税義務がなくなることではない、ということにも注意が必要です。
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