【先生】
引き続き中間申告のお話です。今回は仮決算に基づく中間申告
についてみていきます。
【生徒】
前回までの前年実績に基づく中間申告では、直前期の確定年税
額をそれぞれ申告回数にあわせて1/12、3/12、6/12にして計算し
ていきました。
【先生】
そうですね。ですので計算も楽だったのですが、仮決算方式では
文字通り仮で決算をくむ方法です。
具体的には中間申告対象期間を一つの課税期間とみなして、原
則課税の場合には原則どおり、簡易課税の場合には簡易課税の
計算方法に基づき納税額を計算します。
【生徒】
そうしたら、課税期間を短縮した場合の申告と同じになるんじゃな
いですか?
【先生】
そうですね。ほとんど同じと考えてよいかもしれません。
ですが、期間短縮と中間申告では大きな違いがあります。
期間短縮の場合では、一つ一つの期間は確定の課税期間ですの
で、申告期限には確定申告書を提出しますし、控除不足額があれば
その還付を受けることもできます。
一方中間申告は仮決算を組んだとしても中間申告であることには
変わりなく、あくまでその課税期間の税金を「前払い」するための
ものです。
ですから仮決算で控除不足額が生じたとしても還付を受けることは
できません。その場合は納付額が0円となるだけです。
【生徒】
還付金額があっても考慮されないんですか?
【先生】
もし1年間が終わって確定申告をする際にまだ控除不足が生じて
いるとすれば、そこで初めて還付されることになります。
【生徒】
前回、資金的に厳しい場合には仮決算って言ってましたけど、あれ
はどういう意味ですか?
【先生】
仮決算によらなければ自動的に前年実績による中間申告となって
しまいます。
前年実績が非常に好調であれば、中間申告に係る納税額も当然
多くなってしまいますが、今期の業績がよくないなどの理由があれば、
その当期実績に基づく仮決算を行えば、最低0円にまで中間納付額
を抑えることができます。
【生徒】
そうか。中間申告自体の要否は前年実績で決められてしまうから、
当期の実績が悪いからといって中間申告義務は免除されないです
もんね。
そしたらせめて納税額を抑えればいいってことか。
【先生】
そうです。中間申告は「義務」ですから、対象事業者はしないわけ
にはいきません。
中間申告は、通常所轄税務署から申告期限の1ヶ月前くらいに
既に前年実績に基づく納税額が記載された申告書と納付書が送ら
れてきます。
仮決算による中間申告を行いたい事業者はこれによらず、確定
申告と同様の様式・添付書類で申告を行う必要があります。
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