週刊なるほど!消費税

納税額の計算(48)
簡易課税

第174号 2006/05/29

【先生】

 TVなどにもよく出ている有名な弁護士の先生が申告漏れをしていたと

新聞に出ていましたね。

【生徒】

 HPではご本人はタイヘンお怒りのようです。新聞報道に対してですが。

【先生】

 詳細がわからないので推論になってしまいますが、ご本人のブログによれば

経費について支出の事実は認められるものの領収書等が無かったため否認

されたとのことです。

 法律上領収書等の保存義務がありますからね。また金額も多かったです

ので否認されたのでしょう。

 重加算税が課せられていないことからも、架空経費を計上したり事業と無

関係な経費を計上したような悪質なものではなく、単に経費を否認した修正

申告ということと思われます。

【生徒】

 新聞では飲食費等の2,500万円の申告漏れっていう書かれ方をしてました。

確かにこれでは印象として「キャバクラの領収書でも入れてたんじゃないの?」

とか「儲かってるから脱税しようとしたんじゃないの?」ってなりますよね。

 しかもブラザーや中部電の何十億っていう申告漏れと並んで出てましたから

さらに印象悪い・・・

【先生】

 とはいえ領収書がないと経費が否認されてしまいますので、皆さんはちゃんと

もらうようにしましょう。どうしてももらえない場合は他の証拠で事実を証明できる

ように。でも個人的な支出まで入れてはダメですよ。

 さて前置きが長くなりましたが、簡易課税のお話に入りましょう。

 簡易課税の計算方法は原則と特例2つの計3種類あります。

【生徒】

 計算方法は3つともやりましたよね。

【先生】

 ここで3種類以上の事業がある場合を考えてみて下さい。

 特定の1事業で売上が全体の75%以上であれば、特定2事業でも必ず75%

を超えることになります。

【生徒】

 ・・・言われてみれば確かに。

【先生】

 ですから特定1事業の特例に該当すれば、特定2事業の特例にも必ず該当

することになります。

 また特定2事業に該当する場合、例えば第1種+第2種と第1種+第5種で

それぞれ2事業の特例に該当するとすれば、第1種+第2種のほうが必ず

計算結果は有利になります。

【生徒】

 なるほど。高いほうのみなし仕入率である第1種は変わらないから、他は低い

方のみなし仕入率が適用されるってことで、第2種(80%)>第5種(50%)となり

ますもんね。

【先生】

 みなし仕入率が高いほうが有利となりますので、上記の場合でしたら必ず

第1種+第2種を選択します。ですから第1種+第5種はわざわざ計算しなくても

よいということです。

【生徒】

 それじゃとりあえず売上の割合は計算してみて、その中で75%以上になる

組合せのうち明らかに不利になるものはみなし仕入率を計算しなくてもいい

ってことですね。

【先生】

 そうです。計算するまでも無いことですからね。

 3種類以上の事業を営む場合には、

1.原則によるみなし仕入率の計算

2.特定1事業の判定及びみなし仕入率の計算

3.特定2事業の判定及びみなし仕入率の計算

 という3段階の手順を踏む必要があり、かつ2と3についてはさらに複数の

みなし仕入率を計算することになります。

 例外としては、営む複数事業のうち最も高いみなし仕入率の事業が全体の

売上の75%以上を占めていれば、特定1事業の特例による計算でその一番

高いみなし仕入率が適用されますので、原則も特定2事業も計算する必要

はありません。

【生徒】

 そうか。原則も特定2事業も計算の過程で低いみなし仕入率が含まれる

から、計算結果は必ず最も高いみなし仕入率より低くなりますもんね。

【先生】

 計算過程が多いですから、少しでも手間を省くようにしないと。

 最近ではソフトで売上を入れるだけで全て計算してくれるものもありますし、

計算過程を知っていれば自分でEXCELなどで作ったりもできます。

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