週刊なるほど!消費税

納税額の計算(15)
原則課税

第140号 2005/09/19

【先生】

 カネボウの粉飾決算ではついに監査法人の公認会計士が逮捕されるという

事態にまで陥りました。

【生徒】

 大変ですよね。同監査法人は足利銀行の件でも懲戒処分の申し立てを起こ

されましたし。

【先生】

 昔から指摘されていたことですが、監査法人は決算書等をチェックするのが

仕事ではありますが、同時に監査報酬をチェック相手である企業から受け取る

ことになります。

 監査法人も商売でやっているわけですがら、監査報酬が高額になればなる

ほど、果たして中立公正な監査が実施できるのかどうか疑問がでる余地がない

とはいえないのです。

【生徒】

 数千万円とかもらってる相手から「契約打ち切るぞ」とか言われたら、ちょっと

動揺しちゃうかも。

【先生】

 また、会社が倒産したら莫大な数の従業員が路頭に迷うなどと脅されたら、

単に経営責任を転嫁しているにすぎないのですが、それでも情に縛られるという

こともあるかもしれません。

【生徒】

 人間ですからね。

【先生】

 ですがそれで市場の信頼を損なってしまっては日本経済自体にとんでもない

影響をもたらしてしまいます。今回のことは監査制度全体を見直すいいきっかけ

かもしれませんね。

 さて前置きが長くなってしまいましたが、今回のお話に入りましょう。前回は簡単

な数値例を出して計算方法を説明しました。

 個別対応方式と一括比例配分方式の計算のイメージはつかんでもらえたと思い

ますが、控除税額の計算はそれだけでは終わりません。

 今回からは計算の際の特例や調整計算についてお話していきます。

【生徒】

 やっぱりというか、おなじみというか、色々調整が必要なんですね・・・

【先生】

 まずは不課税売上に対応する課税仕入(支払った消費税)の取り扱いです。

 支払った消費税を3つに分ける場合を思い出してください。

・課税売上にかかる支払った消費税

・非課税売上にかかる支払った消費税

・両者に共通する支払った消費税

 とあるので、不課税売上にかかる支払った消費税がある場合には、どの区分に

入るのかが問題となります。

【生徒】

 言われてみれば確かに。。

【先生】

 これは2つに分けて考えます。

1.国外取引にかかるもの

海外にある不動産を販売する際に、国内で広告を行ったという場合の広告宣伝費

がこれにあたります。

2.国内取引にかかるもの

新株発行の際の、株券印刷費等の新株発行費がこれにあたります。新株を発行

して会社に入るお金は資本金(資本準備金)ですので不課税取引になります。

【生徒】

 国外取引にかかるものはどうなるんですか?

【先生】

 国外取引にかかるものは、課税売上にかかる支払った消費税として取り扱います。

ですので個別対応方式では全額が控除対象として計算されます。

【生徒】

 国内取引にかかるものはどうですか?

【先生】

 国内取引にかかるものは、共通してかかる支払った消費税として取り扱います。

ですので個別対応方式では課税売上割合を乗じた額が控除対象となります。

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