週刊なるほど!消費税

譲渡等・仕入等の時期(13)
工事進行基準

第119号 2005/04/11

【先生】

 先週から急に暖かくなりました。夏日のところもあったようです。

【生徒】

 週末は花見でどこもすごかったですね。花見というか酒飲みというか・・・

【先生】

 これを読んでいるときにはまだ二日酔いという人もいそうですね。

【生徒】

 自業自得の人はまだしも、無理矢理飲まされてという人はご愁傷サマです。

【先生】

 さて前回から工事進行基準についてお話しています。前回は長期大規模

工事の請負と工事の請負について見ていきました。

 長期大規模工事では法人税・所得税法上工事進行基準の適用が必須と

なり、それ以外の工事では任意で工事進行基準が適用できます。

【生徒】

 今回はその工事進行基準の話ですね。

【先生】

 そうです。

 まずは基本的な考え方をみてみましょう。

 例えば建物の建設工事を受注したとします。工事代金を受け取る権利が

発生するのは建物が完成して引渡しが終了したときですから、売上もその

完成・引渡し時に計上することになります。

【生徒】

 モノを作って相手に渡したときってことですね。

【先生】

 ですが大規模な工事であれば完成まで数年かかることも普通です。仮に

完成に3年を要する場合、基本的な考え方からすれば、1期2期は支払い

のみ発生し、3期には一気に多額の売上が計上されることになります。

 そうすると会社は3期を通じて等しく作業をしているにもかかわらず、3期

の損益比較では、3期のみ売上を計上しているため、会社の状況を正しく

反映しているとはいえません。

【生徒】

 確かに会社の業績の伸びとか全然分からないですね。

【先生】

 また現実問題として、多額の支出が発生することから工事代金の一部を

先に受け取るということもよくあります。

 そこで、各期で工事の進行度合いを見積り、それに応じて売上を先行計上

していこうというのが工事進行基準です。

 受注金額を進行度合いに応じて分割し売上計上するとともに、その売上

に対応する原価を計上し、各期の作業量に見合う損益を出していきます。

【生徒】

 なるほど。1期2期3期の工事進行度合が会社の損益に反映されるって

ことですね。

【先生】

 先週お話した長期大規模工事に該当すれば、適正な期間損益の比較と

いう観点から必ずこの工事進行基準を適用しなければなりません。

【生徒】

 長期・大規模じゃなければ会社の任意ですね。

【先生】

 そうです。長期・大規模でなければそれほど期間損益比較を害する恐れ

がないため、任意適用となっています。

 逆に、無理に進行基準を採用することで、かえって期間比較を害するとの

理由で、先週お話したように工事進行基準を採用できない場合もあります。

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