【先生】
前回は工業所有権について見ました。簡単に復習してみましょう。
まず基本的な判定の基準は・・
【生徒】
登録をした機関の所在地です。
【先生】
そうですね。では複数の国で登録している場合には?
【生徒】
その権利の譲渡・貸付を行う者の所在地です。
【先生】
そうです。
ここで一つ問題を出しましょう。
日本にある会社が、合衆国で登録している特許を、日本の別の
会社に譲渡した場合には、国外取引になります。
ではその特許が合衆国とイギリスで登録されている場合、どの
ようになるでしょう?
【生徒】
登録は複数でも、海外なんですよね・・国外の取引っぽいけど・・
でも基準に当てはめると国内になるのかな?
【先生】
そうです。この場合複数の国で登録されている場合に該当します
ので、その権利の譲渡・貸付を行う者の所在地で判断します。譲渡
するのは日本の会社ですから、国内取引ということですね。
では今回の話に入りましょう。今回は著作権です。
【生徒】
ユメの印税生活の話ですね。
【先生】
・・・ちょっと違いますが・・・
著作権の定義は省きますが、例えば幼稚園児が絵を描いた場合
でも、その絵が単なる模倣でない限り、その絵に対して幼稚園児の
著作権が発生します。
【生徒】
・ ・・幼稚園児が何かを真似して描いても、絶対誰もわからないと
思うケド・・・
【先生】
ですので、著作権は工業所有権とは違い、登録は単なる第三者へ
の対抗要件に過ぎず、登録していなくても著作権として保護してくれ
ます。そのため登録をした機関の所在地で判別することができませ
ん。
【生徒】
では、どうやって判定するのですか?
【先生】
著作権の場合は、その著作権の譲渡・貸付を行う者の住所地で
判定します。
ですから日本に住んでいる人から譲渡されたりすれば、国内取引
となります。
【生徒】
分かりやすいと言えば分かりやすいですね。
【生徒】
この場合、著作権だけではなく、著作隣接権(著作物の利用など
により生じる著作権に準じる権利)も同様に扱われます。
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