週刊なるほど!消費税

国内/国外取引(4)

第29号 2003/06/16

【先生】

 前回は工業所有権について見ました。簡単に復習してみましょう。

 まず基本的な判定の基準は・・

【生徒】

 登録をした機関の所在地です。

【先生】

 そうですね。では複数の国で登録している場合には?

【生徒】

 その権利の譲渡・貸付を行う者の所在地です。

【先生】

 そうです。

 ここで一つ問題を出しましょう。

 日本にある会社が、合衆国で登録している特許を、日本の別の

会社に譲渡した場合には、国外取引になります。

 ではその特許が合衆国とイギリスで登録されている場合、どの

ようになるでしょう?

【生徒】

 登録は複数でも、海外なんですよね・・国外の取引っぽいけど・・

でも基準に当てはめると国内になるのかな?

【先生】

 そうです。この場合複数の国で登録されている場合に該当します

ので、その権利の譲渡・貸付を行う者の所在地で判断します。譲渡

するのは日本の会社ですから、国内取引ということですね。

 では今回の話に入りましょう。今回は著作権です。

【生徒】

 ユメの印税生活の話ですね。

【先生】

 ・・・ちょっと違いますが・・・

 著作権の定義は省きますが、例えば幼稚園児が絵を描いた場合

でも、その絵が単なる模倣でない限り、その絵に対して幼稚園児の

著作権が発生します。

【生徒】

・ ・・幼稚園児が何かを真似して描いても、絶対誰もわからないと

思うケド・・・

【先生】

 ですので、著作権は工業所有権とは違い、登録は単なる第三者へ

の対抗要件に過ぎず、登録していなくても著作権として保護してくれ

ます。そのため登録をした機関の所在地で判別することができませ

ん。

【生徒】

 では、どうやって判定するのですか?

【先生】

 著作権の場合は、その著作権の譲渡・貸付を行う者の住所地で

判定します。

 ですから日本に住んでいる人から譲渡されたりすれば、国内取引

となります。

【生徒】

 分かりやすいと言えば分かりやすいですね。

【生徒】

 この場合、著作権だけではなく、著作隣接権(著作物の利用など

により生じる著作権に準じる権利)も同様に扱われます。

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