【先生】
個人事業者のみなし譲渡が終わって山7合目です。
今回は法人のみなし譲渡を見ていきましょう。
個人事業者に比べればだいぶわかりやすいはずです。
【生徒】
・・・ホントですか?
【先生】
その前にまずは簡単な先週の復習を。
個人事業者のみなし譲渡とされる行為は何でしたか?
【生徒】
自家消費です。
【先生】
そうですね。
事業用のものを自分で消費・使用したときには、個人に対する売上とみなされるというものです。
但し状況によってはみなし譲渡に当たらない場合もありました。
では法人の場合はどうでしょう。
「法人が資産を役員に対して贈与した場合」には、その資産をその役員に譲渡したものとされます。
【生徒】
贈与だから本来消費税はかからないのに、譲渡とみなされてしまうということですね。
【先生】
そうです。
まず役員というのは法人税法で規定されている役員をいいますので、取締役や監査役といった登記されている役員だけでなく、実質的に会社の経営に従事している人も含まれます。
【生徒】
「相談役」とか「顧問」みたいなアヤシイ肩書きの人なんかも含まれたりするんですね。
【先生】
経営に従事している人はそれだけ大きい権限を持っているので、例えば高級外車を会社のお金で買って、それをタダでもらってしまうというような公私混同もできたりします。
そういう場合でも資産の譲渡とみなしますよ、というのがこの規定です。
【生徒】
なるほど。
会社を食い潰す社長!とかヘタなドラマにありがちな設定ですね。
【先生】
とはいっても、役員にタダで物をあげたときでもみなし譲渡としなくてもいい場合もあります。
創業10周年記念で作ったボールペンを会社の人全員に配りました、というように、記念品程度のもので役員以外にも広く配られるようなものについては、無視してもかまわないことになっています。
【生徒】
創業100周年記念で100万円の腕時計を全員に配った、なんていう場合は・・・
【先生】
ちょっと難しいでしょうね。
社会通念上記念品としてふさわしいもの、つまり一般常識で見た場合に創業記念として妥当なものかどうかということです。
100万円の腕時計はあまりに高額です。
【生徒】
そんな会社あったら入りたいです・・・
【先生】
法人の場合のみなし譲渡の注意点ですが、気づいた人もいるでしょう。
法人が「資産」を役員に「贈与」した場合にみなし譲渡となると規定されています。
つまり・・・
【生徒】
物をタダであげた場合にしか適用されない?
【先生】
そうです。
法人が役員に無償で「資産を貸付け」たり「役務を提供」したりしても、みなし譲渡には当たりません。
この点が個人事業者と大きく違うところですね。
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