週刊なるほど!消費税

資産の譲渡等(5)

第14号 2003/03/03

【先生】

 前回はNHKの受信料まで話しました。今回は「資産の譲渡等に含まれるもの」の一番の山「みなし譲渡」です。

【生徒】

 山ですか・・・あまり高くないといいんですけど・・・

【先生】

 「みなし譲渡」は個人事業者と法人でそれぞれに規定されています。

 まずは個人事業者について。

「個人事業者が棚卸資産又は棚卸資産以外の資産で事業の用に供していたものを家事のために消費し、または使用した場合」、いわゆる自家消費は資産の譲渡等に含まれます。

【生徒】

 ・・・一合目でいきなり崖を登る感じです・・・

【先生】

 例を出してみましょう。

 まず棚卸資産とは商品のことです。例えば、電器屋さんが自宅のテレビが壊れたので、代わりに店頭に並んでいたテレビを持ってきて自宅用で使っている、などという場合がこれに当てはまります。

【生徒】

 なるほど。売り物を自分用に使った場合ということですね。

【先生】

 商品に限らず、事業用で使っていたものでも同様です。

 よく出てくるのは飲食店でしょう。昼食や夜食で自分で食べた場合も自家消費となります。

 また自家消費は事業主本人だけでなく、本人と生計を一緒にしている配偶者、子供、両親その他親族が消費又は使用した場合を含みます。

【生徒】

 1つ質問です。例えば店で使っているものを、ちょっとだけ家事用に使ってまた店に戻す、なんていう場合にはどうなるんですか?

【先生】

 そこが自家消費の判断で最も難しいところですね。

 自家消費で言う使用というのは、そのものを家事のためだけに使用することを言います。

事業と家事の両方で使用しているような場合などは、家事にだけ使っている部分がどのくらいか明確に区分できないですよね。その場合には自家消費で言う使用にはあたりません。

【生徒】

 ちょっとわかりにくいんですけど・・・

【先生】

 自家消費というのは、商品などを自分用にタダで使ってしまうことですから、本来資産の譲渡等にはあたらないものです。

 それを個人に対して売ったものとみなしてしまおうというのが「みなし譲渡」の規定です。

 店で使っているものを、ちょっとだけ家事用に使ってまた店に戻したり、元々共用だったりした場合、家事用に使うたびに個人に売ったことになったりしたら大変ですよね。

【生徒】

 そうですね。

【先生】

 そのような場合には自家消費にはあたらない、つまり資産の譲渡等ではありませんよ、ということです。

【生徒】

 なるほど。

 なんか業種によっていろんなケースがありそうですね。

【先生】

 駐車場を経営している人を考えてみましょう。

 駐車場の1区画に自分の車を止めました。これは自家消費にあたるでしょうか?

【生徒】

 ・・・猛烈に難しいですが・・・

 たまたまその日だけ止めたならあたらないと思うけど・・・

【先生】

 そうですね。ただずっと自分の車の駐車場代わりで使っているようなら、自家消費とされることもあるでしょう。

 個人事業者のみなし譲渡は状況に応じて個別に判断しなくてはならない場合が多いですので注意が必要です。

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