週刊税務調査日記

外注費と税務調査 (4)

第297号 2008/3/24

調査官は、決算直前に行われた倉庫の修繕費に疑いの目を向けています。

●税務署

「倉庫のどこを修繕したのですか?」

▲納税者

「この扉と壁です」

●税務署

「なるほど」

「確かに直しているみたいですね」

▲納税者

「私は嘘なんてつきませんよ」

●税務署

「でも、見積もしないで発注するのは通常では考えられませんよね?」

▲納税者

「いや、だから付き合いの長い外注先だから・・・・」

●税務署

「分かりました」

そう言ってその日の調査は終わりました。

数日後、倉庫の修繕をした外注業者から納税者に電話がありました。

■外注業者

「社長、税務署の人が突然来ていろいろ質問していったけど」

「なんかびっくりしちゃって・・・」

▲納税者

「それで、どんなことを聞いてきた?」

■外注業者

「社長の倉庫を修繕した日の作業日報を見せろって言われたよ」

▲納税者

「それでどうだった?」

■外注業者

「見せたら、工事をやったのは社長の会社の決算日後だね、と言われたよ」

▲納税者

「は~」

■外注業者

「だって嘘はつけないよ」

「倉庫の修繕の材料はいつ仕入れたとか、外注の職人は誰だとか、根掘り葉掘り聞かれて、正直に言っちゃたよ」

▲納税者

「分かった、ゴメン、請求書だけ決算日前の日付で出してもらって、迷惑をかけてしまったね」

「調査官には正直に話して、頭を下げるよ・・・・」

今回の調査は、取引先の反面調査でやられました。

取引先の決算に協力したり、逆に協力してもらっても、このような反面調査があって、お互いにいやな思いをしたり、また、今後の取引にも影響することがありますので、そのようなことは控えた方がよいでしょう。

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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