調査官は、決算直前に行われた倉庫の修繕費に疑いの目を向けています。
●税務署
「倉庫のどこを修繕したのですか?」
▲納税者
「この扉と壁です」
●税務署
「なるほど」
「確かに直しているみたいですね」
▲納税者
「私は嘘なんてつきませんよ」
●税務署
「でも、見積もしないで発注するのは通常では考えられませんよね?」
▲納税者
「いや、だから付き合いの長い外注先だから・・・・」
●税務署
「分かりました」
そう言ってその日の調査は終わりました。
数日後、倉庫の修繕をした外注業者から納税者に電話がありました。
■外注業者
「社長、税務署の人が突然来ていろいろ質問していったけど」
「なんかびっくりしちゃって・・・」
▲納税者
「それで、どんなことを聞いてきた?」
■外注業者
「社長の倉庫を修繕した日の作業日報を見せろって言われたよ」
▲納税者
「それでどうだった?」
■外注業者
「見せたら、工事をやったのは社長の会社の決算日後だね、と言われたよ」
▲納税者
「は~」
■外注業者
「だって嘘はつけないよ」
「倉庫の修繕の材料はいつ仕入れたとか、外注の職人は誰だとか、根掘り葉掘り聞かれて、正直に言っちゃたよ」
▲納税者
「分かった、ゴメン、請求書だけ決算日前の日付で出してもらって、迷惑をかけてしまったね」
「調査官には正直に話して、頭を下げるよ・・・・」
今回の調査は、取引先の反面調査でやられました。
取引先の決算に協力したり、逆に協力してもらっても、このような反面調査があって、お互いにいやな思いをしたり、また、今後の取引にも影響することがありますので、そのようなことは控えた方がよいでしょう。
つづく
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