週刊税務調査日記

仕掛計上と税務調査 (4)

第292号 2008/2/12

ソフトウェアの制作でも仕掛品はよく問題になります。

ホームページの制作を請け負った会社の税務調査です。

●税務署

「決算日現在で作業は着手しているけれども、まだ納品にまで至っていないものはありませんか?」

▲納税者

「ありますよ」

●税務署

「その内容について教えてください」

▲納税者

「A社のホームページの制作は、決算日現在ではまだ未完成でした」

●税務署

「その制作はどなたが担当しているのですか?」

▲納税者

「山田です」

●税務署

「制作期間はどのくらいかかっていますか?」

▲納税者

「決算日までですか?」

●税務署

「そうです」

▲納税者

「5ヶ月くらいですかね」

●税務署

「そしたら、山田さんの給料の5ヶ月分を仕掛品として計上しなければならなかったですね」

▲納税者

「山田の給料の5ヶ月分を仕掛品で計上?」

「何ですか、それって?」

●税務署

「山田さんの給料は毎月経費で落ちていますよね?」

▲納税者

「ええ そうですね」

●税務署

「でも、山田さんが制作していたA社のホームページは、決算日現在は未完成で、翌期に完成して売上が計上されます」

「したがって、翌期の売上に対応させる原価とするために、山田さんが決算日までに制作にかかった給料を、経費として落とすのではなく、仕掛品として資産計上する必要があるのです」

▲納税者

「ふ~ん」

「それで具体的に、どうしたらよいわけ?」

●税務署

「山田さんの5ヶ月分の給料はいくらですか?」

▲納税者

「月50万円ですから、250万円ですよ」

●税務署

「その分を修正申告していただくことになりますね」

つづく

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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