事務所での調査が終わって、2週間後に調査官から電話がありました。
最終的な詰めをしたいので、税務署まで来てもらいたいとのことでした。
納税者は、会計事務所に一任するということで、我々だけで税務署に向かいます。
●税務署
「お忙しいところすみません」
■会計事務所
「いいえ、仕事ですから」
●税務署
「ウイスキーの在庫数が違う件ですが、在庫数が違うというよりは、販売したウイスキーの売上が漏れている可能性が強いと思います」
■会計事務所
「確かに、実際の在庫数が20本で、期首在庫数に期中の販売数を引いて購入数を足した理論在庫が70本ですので、在庫間違いは確かに考えにくいかもしれませんね」
●税務署
「そうなんです」
「そこで、こちらで売上の計上漏れということで試算しました」
■会計事務所
「どのような試算ですか?」
●税務署
「お店の平均的な来店者数は、一組3名です」
「そして、1人当たりの客単価は平均すると約6,000円です」
「したがって、ボトル50本分の来客を考えると、3名×50回として150名分、それに客単価をかけると150名×6,000円で年間90万円になります」
「これを3年間分計算すると90万円×3年で270万円になります」
■会計事務所
「・・・・」
返す言葉がありません。
税務署の一方的な推計課税です。
「こんな計算受け入れられませんよ」
●税務署
「でも、考えられる計算ですよね」
■会計事務所
「考えることは自由ですが、こんな荒っぽい計算を受け入れるわけには行きません」
●税務署
「では、1年分ではどうですか?」
■会計事務所
「1年分にするから修正申告をしろ」ということでしょう。
とても受け入れられる性格のものではありません。
「とても受け入れられません」
「再考をお願いいたします」と言って税務署を後にしました。
つづく
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