調査官は、Excelで作った棚卸し表のデータが2つあることに疑いを持っているようです。
棚卸し表の在庫数や単価をいじって、在庫金額を調整したのではないかと疑っているのでしょう。
実際に、会社の利益を調整するには、在庫金額をいじるのが一番手っ取り早いのです。
増してや、Excelで作ってある在庫表では、数字をひとつ変えれば、後は自動的に合計金額を瞬時に再計算してくれるのですから、数字をいじるのにはこれほど重宝なソフトはありません。
このことを調査官は百も承知で疑ってかかっているのです。
▲納税者
「これがNO.1とNO.2の棚卸し表をプリントアウトしたものです」と言って調査官に2つの棚卸し表を渡しました。
●税務署
「それと、実際に棚卸しをした際の棚卸しの原票はありますか?」
▲納税者
「はい あります」
「棚札のことですよね?」
●税務署
「そうです」
「では、それもお願いします」
納税者は言われたとおり、棚札の束を持ってきました。
調査官は、NO.1とNO.2の棚卸し表を見比べて、違うところにマーカーで印を付けています。
そのマーカーを付けた在庫の実際の棚卸しの数量を、棚卸しの元となった棚札で直接確認しようとしています。
棚札の数量が決算書の在庫金額と合っているNO.2の棚卸し表の数量と合っていれば問題ありません。
NO.2の棚卸し表の数量と合わず、NO.1の棚卸し表の数量と合っていたら問題です。
後から、数量を改ざんしてNO.2の棚卸し表を作成したということになるからです。
「この在庫の棚札を見せてください」
▲納税者
「はい、これです」
●税務署
「次にこの在庫・・・」
▲納税者
「はい、これです」
と、言った具合でチェックしていきました。
●税務署
「ん~ 全てNO.2の棚卸し表の数量と合っていますね・・・」
▲納税者
「そのはずです!」
「私は嘘なんて言いません!」
●税務署
「ええ 分かりました」
「失礼いたしました」
「しかし、これも仕事ですので気分を悪くしないでください・・・」
To be continued
無断転用・転載を禁止します。
本メールマガジンに掲載されている著作物に対する以下の行為は、著作権法上禁止されており、著作権侵害になります。