週刊税務調査日記

パソコン会計と税務調査(6)

第191号 2006/1/9

調査官は、Excelで作った棚卸し表のデータが2つあることに疑いを持っているようです。

棚卸し表の在庫数や単価をいじって、在庫金額を調整したのではないかと疑っているのでしょう。

実際に、会社の利益を調整するには、在庫金額をいじるのが一番手っ取り早いのです。

増してや、Excelで作ってある在庫表では、数字をひとつ変えれば、後は自動的に合計金額を瞬時に再計算してくれるのですから、数字をいじるのにはこれほど重宝なソフトはありません。

このことを調査官は百も承知で疑ってかかっているのです。

▲納税者

「これがNO.1とNO.2の棚卸し表をプリントアウトしたものです」と言って調査官に2つの棚卸し表を渡しました。

●税務署

「それと、実際に棚卸しをした際の棚卸しの原票はありますか?」

▲納税者

「はい あります」

「棚札のことですよね?」

●税務署

「そうです」

「では、それもお願いします」

納税者は言われたとおり、棚札の束を持ってきました。

調査官は、NO.1とNO.2の棚卸し表を見比べて、違うところにマーカーで印を付けています。

そのマーカーを付けた在庫の実際の棚卸しの数量を、棚卸しの元となった棚札で直接確認しようとしています。

棚札の数量が決算書の在庫金額と合っているNO.2の棚卸し表の数量と合っていれば問題ありません。

NO.2の棚卸し表の数量と合わず、NO.1の棚卸し表の数量と合っていたら問題です。

後から、数量を改ざんしてNO.2の棚卸し表を作成したということになるからです。

「この在庫の棚札を見せてください」

▲納税者

「はい、これです」

●税務署

「次にこの在庫・・・」

▲納税者

「はい、これです」

と、言った具合でチェックしていきました。

●税務署

「ん~ 全てNO.2の棚卸し表の数量と合っていますね・・・」

▲納税者

「そのはずです!」

「私は嘘なんて言いません!」 

●税務署

「ええ 分かりました」

「失礼いたしました」

「しかし、これも仕事ですので気分を悪くしないでください・・・」

To be continued 

公認会計士・税理士・行政書士
井上 修
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