午後1時に調査官がお昼から帰ってきました。
これから帳簿調査の開始です。
●税務署
「総勘定元帳を見せてください」
▲納税者
「はい、どうぞ」
●税務署
調査官は、総勘定元帳を一生懸命に見ています。
「チョッとお聞きしたいのですが、消費税の会計処理はどうなっていますか?」
▲納税者
「税抜き処理をしています」
●税務署
「そうですよね」
「外注費については、コンピュータシステム上、発注時点で消費税の金額だけ仮払消費税を計上していますね?」
▲納税者
「はい、そのとおりです」
●税務署
「すると、その外注費が期末時点で仕掛工事になった場合には、仮払消費税はどうするのですか?」
「そのままですか?」
▲納税者
「・・・・・」
経理担当者は私の方を見て助けを求めています。
■会計事務所
「税務署の方が言っている意味が分かりますか?」
▲納税者
「いいえ・・・」
■会計事務所
「外注費について仮払消費税が計上できる時点は、外注工事が完成して建築物の引渡しが終わった時点となります」
「つまり、工事完了時点ということです」
▲納税者
「はい分かります」
■会計事務所
「しかし、外注先が行った工事が決算時点で未完成である、つまり仕掛工事である場合には、まだ仮払消費税を計上できないことになります」
「会社の経理処理は、システム上、外注先に発注した時点で外注費が未払い計上され、同時に仮払消費税も計上されます」
「ですから、何もしないと決算日時点で未完成の外注工事についても仮払消費税が計上されたままになっているのではないか、と税務署の方は聞いているのです」
▲納税者
「仕掛工事について、外注費にかかる仮払消費税が計上されたままだと都合が悪いのですか?」
■会計事務所
「本来計上するには早すぎる仮払消費税が計上されると、消費税の納税額がその分少なくなってしまうのです」
「消費税の納税額は預かり消費税から仮払消費税を差し引いて計算するからです」
▲納税者
「あ~なるほど。それでそういう質問を・・・」
「で、どうなってるんですか、うちの会計処理は? 先生?」
■会計事務所
「決算処理で、仕掛工事にかかる外注費の仮払消費税は、すべてその計上を取り消していますからご安心ください」
●税務署
「そうですか」
「では、確認のため、その取り消した処理を見せてください。」
■会計事務所
「はい、これです」
▲納税者
「あ~良かった」
「何かあったら、社長に怒られちゃいますから・・・」
To be continued
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