税務調査が始まって早々に契約書に収入印紙の貼付がないことを指摘されてしまいました。
開始早々、「一本」とは行きませんが、「技あり」を取られたような格好です。
税務調査の連絡があったら、契約書類等のファイルを見直して、収入印紙の貼付があるかどうかを確認する必要があります。
収入印紙を貼っていない場合の原則的なペナルティーは、収入印紙額の3倍です。
2万円の収入印紙を貼り忘れると6万円のペナルティーを課せられることになります。
しかし、実務上は指導的な取扱として、不納付を自主的に申し出たとする手続きを踏んで、1.1倍のペナルティーを課しているケースが多いようです。
印紙税は経費になりますが、課せられたペナルティーは経費になりません。
収入印紙をはじめから貼ってある場合に比べ、1.1倍のペナルティーのほかに法人税や地方税の負担も多くなるのです。
●税務署
「総勘定元帳を見せてください」
▲納税者
「はい、どうぞ」
調査官は総勘定元帳を見始めました。
元帳に筆箱から付箋を取り出してペタペタ貼り付けています。
●税務署
「この付箋を貼ったところを全てコピーしていただけますか?」
▲納税者
「はい分かりました」
納税者は元帳のコピーを調査官に渡します。
付箋の貼ってある元帳の内容を見ると、外注費勘定にある取引に付箋が貼ってありました。
おそらく外注費とそれに対する売上げの対応関係をチェックするのでしょう。
●税務署
「すみません。総勘定元帳で付箋の貼ってあるところを見ていただけますか?」
▲納税者
「はい」
●税務署
「まず○月○日の取引ですが、この外注費の取引内容はどのようなものですか?」
▲納税者
「あ、これは得意先A社から発注された案件です」
●税務署
「ソフトの製作期間はどのくらいかかったのですか?」
「得意先との間で、契約書は交わしていますか?」
▲納税者
「期間は約半年だったと思います」
「契約書はありますので、今お持ちします」
調査官は、渡されたソフトの請負契約書に目を通しています。
●税務署
「今回この案件で、外注先はどのような作業を担当したのですか?」
▲納税者
「この案件が来たときは、自社の技術者は手一杯でしたので、すべて外注にやってもらいました」
●税務署
「まる投げということですね」
▲納税者
「基本的には、そういうことです」
調査官は、ポイントとなるような情報を着々と収集しています。
To be continued
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